感受性
「で、実際産んだら休むヒマも寝るヒマもありゃしない。
けど弱音なんか、今更はける訳ない。
そんな時、2人目でしょ。
悪いけど、無理だって思った。」
妊娠したけど堕ろしたいって、誰にも言えなかった。
シノブにも。
「そんな時、アケミくんだけが何故か、気付いたの。」
ツワリはあんまなかったし、家事育児もちゃんとしてたんだけどね。
「私…、泣いたよ。そん時。」
全部話したの。
「そしたら、どうしたと思う?」
「アッケが、みんなに話した…?」
友梨恵サンは首を横に振る。
「次の日に10万、くれたの。」
「…それって。」
傷付くのはアンタだろ。
別に俺じゃねェし。
まァもちろん、育てんのもな。
「…って。
私、すごく迷ったよ。彼の言葉が…重過ぎて。」
「頑張って産もうかな、って思った矢先に
…流れちゃったんだ。」
「彼はね、子供がいるアタシより全然、重さや大切さを知っていたよ。
命の。」
私も最初、少しも喜べなかった事を思い出した。
…アッケにも赤ちゃんにも、謝りたい。
[前へ][次へ]
無料HPエムペ!