『母親』って
アッケの実家は、学校から電車で約30分。
最寄り駅からはバスに乗ろうか迷う、微妙な距離。
時刻表を見たらしばらく来なそうなので、私は歩く事にした。
途中でバスに追い越されて、ちょっと悔しい…。
1階の美容院をちらっと覗いたらお客さんがいたので、お母さんには挨拶しないで直接おウチに行った。
「はぁ〜い。
お、こんちは!」
友梨恵サンは、明るく迎えてくれたが、少し疲れてる感じ。
私は、途中で買って来た果物を渡した。
「萌香ちゃん、風邪大丈夫ですか?」
「あ〜、わざわざ悪いね〜。
やっとさっき寝たトコ。熱は低いんだけど、セキが酷くて。」
「…友梨恵サンも風邪?」
私は家にあがらせてもらった。
「え?」
彼女は驚いた様子で振り向く。
「なんか、元気ないから。」
「あぁ…、アタシは寝不足かな。
萌香がウトウトし出すと、もう弁当作る時間とかだから全然寝てないからね〜。」
目の当たりにして、初めて分かった。
キレイ事やカワイイってだけじゃ、やっていけないんだ。
子育ては。
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