不倫 ふたり並んでソファに座り、彼女の肩を抱いていた。 まだ静かに涙を流している。 「話してみろよ。」 善人ぶりたい訳じゃない。 少しでも、取り除いてやりたいだけだ…その哀しみを。 「コレ…、殴られたの。そのヒトに。」 「へ!?」 「『口で言って分かんない様なガキには体罰しかねーよ。』って。」 「けど、女殴るなんて…!」 「そのヒト言ってた。 『殴られた方は体が痛いよな。殴った方は、心が痛いんだ。』 って。」 「いくらなんでもそんな事しなくても!」 許せない。 「ヒナが馬鹿だからだょ。ワガママ、言い過ぎたの…。」 「どんな?」 「1回でいいからエッチして。って。」 「まさか拒否られた…?」 「うん。結婚、してるヒトだから。」 「結婚!?いくつの男だよッ!?」 「35。子供もいるヒト。」 「へ…ぇ。」 としか、言い様がない。 「1度で、良かったのに…。」 羽柴はまた、涙を流す。 「たった1度でいいから、奥さんよりヒナを選んで欲しかった…。」 [前へ][次へ] |