方恋 「凪斗。あっちの女、見てみ。」 「…へ?」 いかん。羽柴の事を考えてボケーっとしてた。 駿の視線を追うと、派手な女子高生の2人組。 「ちょっとナンパして来いよ。」 「ハァ!?何言ってんだお前!」 「俺より凪斗のがカッコイイじゃん。」 「無理だよ!自分で行きゃいいじゃねーか。」 俺がカッコイイ訳ないだろ。実際、モテないんだから。 駿は背も高く、今まで何人か彼女だっていた。 俺は正反対に地味なタイプで、彼女だって高2になって未だ0。 「自分の事分かってねーなー、凪斗は。」 「ハァ?」 「お前はね、モテないんじゃないよ。」 「告られた事とかねーんだけど。」 「本気で好きになり過ぎて言えないんだろ。」 「誰だ、それ?」 「俺がそれ言っちゃったらヤバいでしょー!」 思いつく女なんか、いない。 「早く気付いてやったらー?」 駿はニヤニヤしながらコーラを飲み干す。 「全然分かんないんだけど。」 「カワイソ。まだ両想いには遠いみたいだな。」 誰だよー、気になるだろー。 [前へ][次へ] |