6
「若葉。おばさん、具合い悪い?」
中庭のいつもの場所に座り、あたしはお弁当を広げた。
「んー。何となく、ね。ダルいみたい。」
あたしと若葉は小学校からの幼なじみで、おばさんとも何回も面識がある。
去年大病を患い、それからちょこちょこ若葉のお弁当がない日があるのだ。
「でもちゃんと病院通ってるし。平気だよ。」
若葉とおばさんはそっくりで、やっぱり彼女も背は低い。
「そっかぁ…。なら、いいんだけど。」
そして全く同じ、優しい笑顔をあたしにくれる人。
「大丈夫だって!キオは実の娘のあたしより優しいな〜。」
ナデナデと、子供をあやすように頭を撫でられた。
「優しいって言えばさ〜、さっきの二階堂さん!」
「あ、うん。そうだね。」
「てゆーか、意外〜。」
若葉はカレーパンを食べ終わり、次の焼そばパンの袋を開ける。
「意外?」
言葉使いは悪いけど、あたしはマリンちゃんが『優しくない』と感じた事はない。
「うん。あたしに構うなんてさ。」
ますます意味が分からなくて、あたしは首を傾げる。
「ぶっちゃけ、嫌われてるっぽかったから。」
マリンちゃんと若葉に、そんなに接点がなかった気がする。
単にあたしが知らなかっただけなのだろうか。
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