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数日後──…。
「あ。」
体育の授業中。
昇降口から校舎に入る、女生徒を見た。
ジャージ姿。
それも紺色。1年生のカラー。
あたしの記憶では今の2時間目、そして次の3時間目も他のクラスで体育の授業はない。
毎回使った道具を片づけるため覚えてる。続けて他クラスで授業がある場合は、片づけないで良いと先生が指示するから。
誰かが、何らかの事情で制服ではなくジャージを着用していたのかもしれない。
例えば、化学の授業で何かをこぼしたとか。
「きィちゃん?どうしたの?」
ぼーっと校舎を見てたあたしは、クラスメイトに声をかけられた。
「あ、ううん。何でもない。」
我に返り、何となく辺りを見渡す。
「頑張れ〜ぃ!ったく何やってんだ、疾風(ハヤテ)!!」
耳に飛び込んできたのは、サッカーをする男子を応援するマリンちゃんの声援。
「アンタのドコが疾風だ、情けねーぞー!!」
あぁ。最上くんの下の名前、ハヤテって言うんだ。
失笑する他の男子やマリンちゃんの友達。
最上くん自身は振り向きもせず、ボールを追いかけている。
…さっき校舎に入って行った人、背が高かったなぁ。
マリンちゃんと、同じぐらい。
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