3
翌日。
あたしは何となく、マリンちゃんを観察していた。
男女問わず友達が多くて気さくな性格なのは知っている。
この2ヵ月で何度か、あたしも彼女に話しかけられていたから。
しゃべり方はまるで男子。しかし会話の最中、良く笑う。
あたしなら凹んでしまいそうな鋭い突っ込みが時々入るが、彼女と仲の良い人たちは気にしていないみたいだ。
「ったく。うっせーよな、アイツ。」
「…え?」
ふいにあたしに話題をふって来たのは、斜め後ろの最上(モガミ)くんと言う男子。
「ガン見してんじゃん?」
彼は顎でマリンちゃんを差す。
「え、いや!た、楽しそうだなって思ってただけだよ。マリンちゃんて明るいな、って思って!!」
あたしが彼女を疎ましく思って凝視してると勘違いされるなんて、心外だ。
「あぁ、そう?オレはアイツがウザいけどねー。」
最上くんは横目でダルそうに談笑しているマリンちゃんを見る。
「いや、ウザいとか、そんな…。」
あたしはホントにそんな事、思ってない。
「別にどうでもいいけどさ。」
もうすぐ授業が始まるというのに、最上くんは机に突っ伏してしまった。
…寝るのかな。先生、もう来るよ?
彼の後頭部を見ていても仕方ないから視線を前に戻すと、友達に囲まれ机の上に座っているマリンちゃんと目が合った気がした。
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