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「キオ、帰ろ?どしたの?」
「…えっ、うん?」
あたしは親友の若葉(ワカバ)に声をかけられ、授業が既に終わっていた事を初めて知った。
「今日、どーする?」
カバンに荷物をしまいつつ、あたしの視線は彼女の動きを追っていた。
「う〜ん…。」
ドコでお茶してくかを考えてるつもりでも、脳裏にこびりついて…離れない。
彼女の後ろ姿の残像が。
あの奇妙な昼下がりが。
「二階堂さんがどうかした?」
あたしの目がとらえていたものに気付いた若葉は、不思議そうな顔をしている。
「え。…ううん、別に。」
さっきのは見間違いに決まってる。
うん、そうだ。
「二階堂さんて背高いよね〜。羨ましいな、モデルみたいで。」
小柄なあたしの親友はそうボヤき、教室から出て行く彼女の背中を見送っていた。
「何て言うかさ、美形ってタイプだよね。サバサバしてるし、宝塚みたいな〜!?」
若葉の中のマリンちゃんのイメージは『タカラジェンヌ』らしい。
「う〜ん、良く分かんない。」
竹を割ったようなと言えば、そんな感じだけど。
正直、言葉使いも良くはなくていつも男子に平気で毒を吐いている。
高校生になって2ヵ月。
彼女とクラスメイトになって、まだ2ヵ月なのだ。
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