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「何か分かんないんだけど…。変なもの、見たって。」
泣きじゃくるあたしの代わりに若葉が姉に説明する。
「変なもの?ユーレイ?」
姉はあたしを引っぺがし、呑気に冷蔵庫からプリンを取り出した。
「若葉ちゃんもいる?」
「そんな、プリンとかって場合じゃないから!お姉ちゃん!!」
「はい。アンタのもちゃんとあるから。」
「いらないよッ!!」
「で、何見たの。アンタ。」
すごい剣幕のあたしとは対照的に、プリンを食べ始めてる姉。
「血塗れの落ち武者とか?」
「いやーッ!止めて、違うし!!てか、止めて!!」
カラカラ笑う姉に怒鳴りまくる。
「…大丈夫?キオ。どうしたの?」
心配してくれてる若葉に感謝しつつ、あたしは気持ちを落ち着かせる。
「…あし。」
深呼吸してやっと、それだけ伝えた。
「あし?」
若葉と姉は同時に繰り返す。
「そう…。足。」
あたしは深刻な眼差しでふたりを交互に見る。
「へ〜。ユーレイなのに、足あったんだ?」
相変わらず呑気にプリンを頬張る姉が怨めしい。
あたしはこんなに恐い思いしたって言うのに!
「足、て…。足だけ?体…は?」
もうこの際、若葉とだけ話ししようかな。
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