5
無事、学校を出た。
学校から…出れた。
こんな表現大げさに思われるだろうけど、本当に安堵する。
しかし何故か最上くんは手を離さずに、そのまま駐輪場に向かう。
「返事出来ないぐらい具合ワリーんなら、遠慮するな。」
「あ、違うよ。そっか。あたし、首振ってた。」
すっごく、呆れた顔で振り向かれる。
「それ…天然?」
そう言われても、良く分かんない。
「…ま、いーや。駅で目ぇつぶってダッシュはするなよ。」
彼のおかげで、あたしには笑顔がこぼれる。
学校じゃなければ…きっと、平気。
あんなもの、
見ない。
翌朝。
重たい気持ちだが頑張って学校へ向かおうとしたあたしは、自宅のエレベーター内で裏切られた。
「もうヤダ!何なの、ねぇ、若葉!!あれ、今のなにッ!?」
エントランスで待っていた彼女に泣き付き、7階まで階段で上がるという何とも迷惑な目にあわせてしまった。
「はぁ?何、アンタ。」
たった今見送ってくれた姉に、再びあたしは泣き付いた。
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