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「お願い、一緒に行って。校門まで!」
必要以上に必死なあたしに、尚更怪訝そうな顔をする。
「まだ具合ワリーの?送ってくか?」
さすがにそれは申し訳なくて、首を横に振る。
それに、具合が悪い訳じゃない。
「あの…、さ。」
「え、なに?」
「いや…。」
下駄箱まで来てあたしは、やっと正気になる。
「あ…、あ!ゴメンなさい!!あたし…。」
「別に、…。」
あたしは最上くんの腕にがっしりしがみついて歩いていたのだ。
「え、あの、でも。本当に…ゴメン。」
とにかく恥ずかしくて、あたしは耳まで真っ赤だったかもしれない。
「いーって…。」
そしてそれが伝染したかのように、彼も。
「ま、待って!お願い!!」
あたしがモタモタと靴をはき替えてる間に、少し離れた。むしろただのクラスメイトなんだから、このぐらいの距離が普通なのかも。
なのに最上くんは…すっと手を出してくれた。
あたしの手を、握ってくれた。
「大丈夫か?」
前を歩き、気遣ってくれる。
あたしは頷いたが彼に見える訳ない。
「やっぱ送ってく?」
同じように今度は首を横に振るがやはり彼には、見える訳ない。
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