3
しまった…。
今日若葉は部活行くって言ってたから、一緒に帰れないんだっけ。
放課後。
あたしはぽつぽつと人数が減って行く教室で、途方にくれていた。
ヤダな、ひとりで帰りたくないよ…。
でもいきなり一緒に帰るような友達は他にいないし。
しょーがない。
例のドアは見ないようにして、ダッシュで学校から出よう。
カバンを握り締めてあたしが駆け抜けようとした、その時──…。
「うわッ!?」
ドン!!
と、思っきり、あたしは何かにぶつかってはね返させられた。
「…ッぶね!!」
そして腕を掴まれ、危うく転倒だけは避けた。
「な、何、してんだよ?」
そっと開けた瞳の中には…唖然と、けれど力強くあたしを支えてくれた最上くんの顔。
「か、帰ろうと、思って…。」
うん。帰ろうと思っただけ。
「よそ見してると危ないぞ?」
「よそ見って言うか…目、つぶってた…。」
「もっと危ねーし、それ!」
最上くんは自分のジャージを取ると、スタスタまたこちらへ来る。
「部活?」
「あぁ。忘れた。」
バサバサと、そのジャージを振る。
「校庭…、出る?」
怪訝そうに頷く彼が、神様に見えた。
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