木曜日
「オレ、付き合う事にしたんだ。」
城戸は日誌を書きながら、事もなげにサラっと言った。
「そう、おめでと。」
私は黒板消しをクリーナーにかけながら、サラっと返した。
心の中とは、裏腹に。
「いつかちゃんと、好きになってあげれるのかな…。」
彼は窓の外の校庭をぼーっと眺めている。
「さあね。頑張ってみれば?」
黒板消しなんかとっくに綺麗になっているのに、私は手を止めないでいる。
震えているのを知られたくないからだ。
と、言うか。
私のこの感情も、チョークの粉と一緒に吸い取ってくれないかな…。
いっそ身体ごとでも、構わない。
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