火曜日
私が振り返ると、その子はいなくなっていた。
「あ、いや、マヂで今ここに…。」
今度は私が慌てる。
「どんな感じの人?男?」
「んーん、女。背は高くなくて、何てーか、マジメそうで可愛らしい感じ?私とは正反対な…。」
そんな軽い自嘲をシカトし、城戸は走ってどっか行ってしまった。
購買に行った私は、いつもの様に屋上に向かう。
大概1人で携帯をいじりながら、昼休みを過ごすのだ。
階段の踊り場の小窓から、中庭が見えた。
そこにはさっきの女の子と、
イチャつく城戸。
ア〜、カノジョダッタンダ‥。
だったら、遠慮しないで自分で呼べばいいのに。
何故堂々としないんだ?
てゆーか、誰が『特別』だって?
オンナいるくせに、そんな事サラっと言ってんじゃねーよ。
買って来たサンドイッチを食べる気にもならず、私はタバコを取り出した。
「彼女、いたんだ。」
週番の時、城戸に聞いた。
「…え。」
今さら、何をトボける必要があるのか。
「違う、違うよ。別に彼女じゃないよ!」
しかも私相手に、否定する意味も分かんないし。
「告白されたんだけど、付き合ってはないんだ。」
「あ、そ。」
普通に返事したつもりが、超興味なさ気な返事をしてしまった。
それから、私も城戸も話しはしないでいた。
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