日曜日
「何て言って別れたの?」
「楠は?」
即、聞き返される。
「…。『好きな人が出来たから』って。」
「あ、一緒。オレもだ。」
…こんなで、いいのかな。
人を傷付けて、自分の気持ちを優先させてしまった。
最低なのは、城戸じゃない。
私。
好きでもない男とダラダラ付き合い、拒否し続けて、最後はポイ捨て。
彼女持ちの男に横恋慕、そして略奪。
ほら、最低。
それでも、手に入ってしまった。
「お互い、責任重大だね。」
城戸は何故か微笑んでいる。
「何が?」
「犠牲になった人達の上に、今の幸せが成り立ってるんだから。」
それは、確かに。
「簡単に別れたりしたら何も意味がなかったって事になるよね、傷付けた人達が。」
プレッシャーですか?
「だからお前は、オレから離れられないよ。」
そんなんなくったって、虜なんだよね。
「度胸ねーな。『離さない』ぐらい言ってみたら?」
悟られないようにと、わざと強がってみせた。
[前へ][次へ]
無料HPエムペ!