土曜日
「彼女と遊びなよ。」
駅で落ち合った城戸に、私はそう言った。
いや。城戸にって言うより、自分に言い聞かせるためだな。
「部活らしいから、大丈夫。」
何が大丈夫なのか、全く分からないけど?
「何部?」
「えっとね、バスケかバレー。」
どっちなんですか、それ。
「ゴメン、覚えてないや。」
別に謝らなくていいけどさ、彼女の部活くらい覚えとけ。
「どこ連れてって欲しいの?」
さわやかな笑顔のクセして、君。立派な浮気者だな。
もちろん、私も。
「…。博物館。」
ほらね、超デートじゃないよな?どうせ変な趣味ですよ。
「いいよ!じゃあ、食虫植物買いに行こう。」
そう。市営の博物館では、何故か食虫植物が売っているのだ。
侮れんな、何で知ってるんだ?
「だって、中学ん時に社見で行った事あるよ。欲しかったんだけど、その時は金なんか持ってなくて。オレ、ツボみたいなヤツ買おっと。」
私、パクって閉じるヤツがいい。
バスの中、食虫植物で盛り上がる高校生の男女ってのもいかがなものか。
こんな相手してくれるの、きっと城戸しかいない。
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