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「警察、行きなよッ!」
「あ〜、そうだね。ま、そのうちね。」
とりあえず飯食い行こう、と、半ば強引にあたしを外に連れ出した。
記憶が‥ない?
何それ、何で!?
事故?でも、ケガはしてなさそうだし。
何かのショックでとか?
ファミレスに到着するまでの間、あたしの頭の中は彼の言葉をずっと繰り返していた。
「何も思い出せないの?名前も?」
「うん。だから好きに呼んで?それが、俺の名前。」
周りは、楽しそうに談笑しながら食事をしている。
こんなに沈んでいるのは、きっとあたしだけ。
「何でもいいよ。名前なかったら不便だろ?」
彼はそう言って席を立った。
戻って来たその手には、タバコ。
「ね、年は?」
「分からない。けど多分20代?」
確かに、あたしよりか少し年上っぼい見た目。
てゆーか、探してる人がきっとたくさんいるはず。
あたしだったら、家族や友達がいきなりいなくなったら居ても立ってもいられない。
彼の帰りを待ち侘びてる人だって、いるはず‥。
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