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「腹減った。」
目を覚ました彼の、第一声。
あたしはその隙にカップラーメンを食べたから、そうでもなかった。
「まさか、本当に居座る気‥?」
恐るおそる、質問してみる。
彼は恐いほどの、綺麗な笑顔を見せた。
そして、「安心しな、大丈夫。」と。
あぁ、やっぱり冗談だったんだ。
あたしが胸を撫で下ろした瞬間、それは覆された。
「彼氏来る時は、ちゃんと出てくから。」
「いないもん!!
てゆーか!知らない男の人となんか、暮らせる訳ないでしょう!?」
「大丈夫。」
いや、だから何がぁ〜!?
「犬だってば、犬。何もしないよ。」
どうやってそれを信用しろと!?
「身分でも証明出来ればいいのか?」
途端、悲しそうな顔をした。
「あ‥。な、名前くらいは知りたい‥かな。」
「名前、ね。」
「俺が一体誰かなんか、俺が1番知りたいんだ。
記憶がね、ないんだよ。」
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