pastA
「待って。最初は、って?その人、今は怨んでいないの?真白さんの事。」
彼は、微笑んだ。
しかしそれは蔑視や厳正を含んだ、鋭い眼差しだった。
「あの女の誤算は、俺を愛してしまった事。」
「結構、面白いゲームだったよ。
必死に感情と理性の狭間で戦う姿を、間近で傍観してるのは。」
それだけが、俺の存在理由だった。
どこまで追い詰めてやろうか、
どこまで縛り付けてやろうか、
どこまで堕落させてやろうか──‥。
「結局、傷付いてるのは自分だって気付くまではね。」
「分かっただろ?
汚れきった俺は、お前といるのに相応しくないんだよ。
俺はもう、『小屋』に帰るから。」
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