past①
「俺は、犯罪者と犯罪者の間に生まれたんだ。」
もう今さら、並大抵な事じゃ驚かない。
「父親は、母親に殺された。」
返す言葉なんか見つからず、黙って聞くしか出来ない。
「そして母親は、俺の『本当の父親』に殺された。」
「意味、分かる？」
「血の繋がったお父さんは、お母さんが結婚した人じゃないって事？」
そうだ。と、彼は頷いた。
「母親は満足だろうね。
愛した男の子を産み、その男の手で最後を迎えたんだから。」
「俺はね、『本当の父親』の配偶者に飼われてるんだ。」
「何のために！？」
「さぁね。最初は怨恨とか復讐とか、そんなんだったんじゃないのかな。」
「だって、そんな。真白さんは悪くないよ！！」
「そんな理屈が通用する女じゃない。
ひと思いに殺すより、生きながらの苦痛を味あわせてやろうって人間だぜ。
尋常じゃないよ、狂ってる。」
彼は相変わらず、遠くを見ている。
自分の『過去』を。
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