given name
「ねぇ‥あのね、倭さん。」
「止めろ。」
初めて強い口調で否定された。
『犬』呼ばわりしても、眉ひとつ動かさなかった彼が。
「倭って呼ぶな。俺は、真白がいい。お前がくれた名前が好きなんだ。」
まるで自分の存在をも否定するかのように。
「お前は純粋で綺麗で、何処へでも行けるよ。俺なんかに縛られてちゃいけない。」
嫌。どうしてそんな事言うの?
あたしを、こんなにめちゃくちゃにしたじゃない!!
「ゴメン。分かっていて、止められなかった。
でも‥今ならまだ間に合うよ。
『酷い男がいた』って、ただそれだけの思い出に変えられる。」
「無理。」
あたしは、彼の胸に飛び込んだ。
「どこにも行かない!真白さんと、ここにいたい!!」
初め困惑していた彼だったが、少しだけあたしを抱き締めてくれた。
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