one's master
あたしと少し距離をおいた彼の、自嘲とも取れる発言。
「『犬』の俺が、学んだものがあったとはね。」
いや、自傷だろうか。
「誰に‥、」
「ん?」
「誰に、『飼われてる』の?」
分かってる。
あたしは、最低の言い回しで質問した。
しかし彼は驚いた様子もなければ、不愉快そうでもない。
「知りたい?」
どっちでも良い。
知っても知らなくても、運命は変えれない。
「何を学んだの?」
不躾に、違う質問をぶつける。
「言ったろ。
『セックスなんかクソ食らえ』だって。」
『飼い主』は女性。
そしてその人物が暴力をふるった。
あたしはそれを確信した。
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