penitence
「どう‥して?何があったか話してよ‥ッ!!」
彼はその綺麗な髪を揺らし、首を横に振る。
あたしは更に食い下がった。
「記憶、取り戻したの?ほんとうの居場所、思い出したの?」
少し俯き加減になり、もう1度首を振る。
「じゃあどうしてッ!?」
あたしは縋るように、彼の腕に触れる。
「もう耐えられないんだ。押し潰されそう。」
一体、何に?
「俺自身。自分の、気持ちに。」
彼の、懺悔。
「『記憶がない』なんて、嘘なんだ。」
本名は、妹尾崎 倭。(セノオザキ ヤマト)
年令は22歳。
先月大学を卒業し、『ある事』から逃げ出して来た。
「本当は気付いてたよね?俺結構、失言してたと思うし。」
全然、とあたしは首を横に振る。
そっか、と彼は失笑した。
「騙してて本当にゴメン。こんなつもりじゃなかったんだ。」
また、あたしに頭を下げる。
「それはいいんだけど。真白さ──‥じゃなくて倭さんは、何から逃げて来たの?」
「この、ケガだよ。」
彼は自分の顔に触れる。
「それ、ケンカ?」
「いや。一方的に俺が叩かれたの。」
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