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「決まった?」
彼は出来上がった料理を運びながら、期待した感じで聞いて来る。
「ぅう〜ん、ソレっぽいの浮かばないよ。」
あたしも運ぶのを手伝う。
「何だ、ソレっぽいのって。」
「カッコ良くて今時っぽくて、何か『あ〜、そんな感じ!』みたいな。」
「悪い、余計分からなくなった。」
テーブルの上は、彼の手料理でいっぱいになった。
「記憶って、全部ないの?」
「いや、断片的には覚えてるよ。子供の頃とか特に。」
「そっかぁ〜。じゃあ結構今、純粋なのかな?」
「さぁ、どうだろね。」
「‥真白!!」
食事中にいきなり大声を出したあたしに、彼は驚いている。
「え?」
「真白!『真っ白』って意味!!」
「え、あぁ。名前?」
「そう〜。」
「うん、いいね。綺麗な響き。」
誉めてくれた名前より、
その言葉より、
あなたの笑顔が1番、
綺麗。
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