precedence
早苗ちゃんが来れないなら、勝平くんと仲良くなるチャンスだよね‥。
あっ、違うの!奪いたいとかじゃなくって。
仲良くは、なりたいよ‥。
早苗ちゃんがいると当然、勝平くんとはあんまりしゃべれないもん。
でも‥。
「あたし、今日は帰る。ゴメンね!」
別に、罪悪感からとかじゃない。
何か気になって気になって仕方ないんだよ〜!
あの人が‥。
「おかえり。ご主人さま。」
彼は大量の買い物袋と共に、ドアの前に佇んでいた。
あたしは、すっごく安堵した。
「良かったぁ!どっか行っちゃったと思ったよ〜。」
「帰る場所が分からないのに、何処に行けと?」
笑いながらふたりで部屋に入る。
「飯、作るから。座って待ってて。」
「え、ホント?すっご〜い。」
あたしはワクワクしながらスーパーの袋の中身を覗いた。
「そしたら、ご褒美ちょうだい?」
「な、何‥?」
ちょっとたじろく、あたし。
何考えてんだよって、笑って
「名前。名前が欲しい。」
そう、言った。
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