encounter
「はぁッ?何コレ!?」
あたしは1人にも関わらず、大きな声を出した。
しとしと雨の降る肌寒い日。
あたしは念願叶っての大学進学と同時に、一人暮らしを始めたアパートに帰る途中だった。
その、アパートの集合ポストの真下。
得体の知れない泥だらけの有機物が、静かにうずくまっている。
有機物=生命体。
生命体≠動物。
つまり、人間。(♂)
「‥え〜ッ!ヤダ何、死んでんのッ!?」
あたしは傘を投げ出し、肩に触れてみた。
冷たい──‥。
氷なんて、比じゃない。
絶対零度って、コレの事?
「ヤっバ、救急車!?」
ジャケットのポケットをまさぐり、濡れた手で携帯を探す。
「えっと‥。救急車、何番だっけ?ひゃくとうばんがおまわりさんだから‥119!」
携帯を開きダイヤルをプッシュしようとして、気付いた。
「救急車って、死んでる人乗せてくんないんだっけ!?
‥。
じゃ、霊柩車?」
「‥死んでない。」
地の底から響いて来る様な、低い声でその男は言い放った。
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