思いやる故の、優しさ 「まぁまぁ、そう怖がらすなよ。怒鳴んなくったってヒトミちゃんは分かるでしょ。」 龍二サンが優しく声をかけてくれた。 「お前にゃ関係ねェ。黙ってろ。」 「だってさ」「ッせーっつってんだ、黙ってな!関係ねェんだよ、龍二には!!」 「でも」「しつけェな、ぶっ飛ばすぞテメェ!!」 アッケは、また龍二サンの胸倉を掴む。 「ヒトミの人生、背負ってんのは俺なんだよ。龍二じゃねェ!分かったら黙ってな!!」 うん、と、龍二サンは頷いた。 私は、アッケがそんな風に考えてくれてるなんて全然思ってもなかった。 単に私が馬鹿だから、高校行けって言ってるんだと思ってた。 「…ね、でもね。アッケ。」 私の声に、彼は振り向く。 「今すぐは決められないよ…。」 「まァな。 けどょ、あんま時間ねェと思うんだよな。」 「うん…、もう12月だもんね。」 「ま、早めに決断しな。」 彼は本当に思慮深い。 私の事を、1番に考えてくれてるんだね…。 [前へ] |