強い女(ヒト)
聖菜ちゃんは、思いのほか早く来た。
「あれ、ヒトミちゃん!
…大丈夫…?」
「うん、大丈夫。ありがと。」
玄関先で、龍二サンはほいっと書類を聖菜ちゃんに手渡した。
「なにぃ〜、もう帰れと?」
「うん、そゆ事。…あ、」
龍二サンは私を見た。
「聖菜の方が、相談しやすいかな?
女の子同士だし。」
聖菜ちゃんは、きょとんとしていた。
「…タカさんと、何かあったの?」
「うん…、私、ヒドい事しちゃって…。」
「どうしたの。良かったら話し聞くけど?」
「うん…。
あのね私、聖菜ちゃんの話しが聞きたい。」
「ね、聖菜ちゃんは不安にならないの?」
「うん?龍二さんとの事?」
「そう…。」
「ん〜とね、もう諦めモード!」
龍二サンは、ブッとコーヒーを吹き出した。
「なんだそりゃ〜。」
「だってさ〜、私が勝手に好きなだけなんだもん。仕方ないじゃん!
龍二さんには忘れられない人がいて、私はそんな龍二さんが好きなの。
それだけだよ。
どんな立場でも、今、側にいられればいいの!」
彼女は、あっけらかんと笑った。
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