僅かな可能性 「なんですか、それ!?」 私は思わず、内診台の上で体を起こした。 「胎児が育たなくて、子宮内で死亡している事です。 痛みも出血もない場合も多いんですよ。」 しかし排卵がズレた事も考えられるし断定は出来ません、とも言われた。 そんな…、流産…? 嘘でしょう…? ついさっきまで幸せいっぱいだったのに、一気に突き落とされた。 「明日かかりつけの産婦人科を受診して下さいね。」 診察を終え、車に乗る。 「どうした、大丈夫か?腹痛い?」 「ううん…、大丈夫。」 「とりあえず今日は送るから。」 私は、涙声で叫んだ。 「イヤ!絶対イヤ!!こんな日にひとりにしないで…!」 「ん。でも実家の方が落ち着いて眠れるだろう?」 「イヤなの、どこでもいい…。 お願い、一緒にいて。お願い…。」 「どうした、変だぞ?」 赤ちゃんが死んでるかも、なんて言えなかった。 言ってしまったら本当にそうなりそうで。 ちょうど赤信号で止まり、泣いてる私のまぶたに優しくキスをしてくれた。 [前へ][次へ] |