ご対面 駅に着くとアッケサンは既に来ていた。 茶色かった髪が真っ黒だったから、ちょっと驚いた。 スーツ姿の彼を見るのは、2回目。 「初めまして、高砂 曙覧と申します。」 「一弥の母の雅代です。」 母の態度は、思っていたより柔らかかった。 母がある料理屋の予約を取っていたため、私たちは移動した。 まるで昔のお屋敷みたいな料理屋。 門をくぐると飛び石があり、小さい池には綺麗な鯉が泳いでいた。 「お母さん、すごいね。」 私は思わず口に出した。 こういう場所じゃなきゃ出来る話しじゃないでしょう、と、たしなめられてしまった。 個室に通され私は普通に母の隣に座る。 しかし何故かアッケサンは座布団には座らず、畳に直接座っていた。 なんで…?足、痛くなっちゃうよ? 私はそう声をかけた。 母に思っきり不愉快そうな顔をされ、 「礼儀知らずな娘で、お恥ずかしい。」 と、アッケサンに謝っていた。 …。 …もう、黙っていよう。 「最初に、お話ししておきたい事があります。」 切り出したのはアッケサン。 [前へ][次へ] |