01波乱の幕開け
―――走れ、走れ
―――光のある方へ
「渡貫 十夜、1番組に配属だ」
『っはい!』
どもども!私は渡貫 せな。新選組へ新入隊士の試験を受けにきたうちの1人です。
「土方さん。この子、腕はどうなんですか?」
晴れて試験に合格して1番組に配属になりました。今は他の合格者達と一緒に配属を発表されています。配属を伝えるのは副長の土方さん。そして今私の剣の腕を聞いてきたのは1番組組長の沖田さん。
「まあまあってとこだな。他の隊士と比べるなら、だいぶ強いほうだろう」
「へえ…土方さんにそこまで言わせるなんて相当の腕みたいだね」
素直に嬉しいけど、新選組最強と評される人に言われても、反応に困ってしまう。
『滅相もございませんっ!!私の何倍も強いのは沖田組長ではありませんか』
「まあそうなんだけど」
『………』
自覚あるんだ…。
「総司。童をいじめるな」
『なっ…!童じゃありません!!』
「16なら十分童だろ」
くっそ〜…サバ読んで自己紹介すればよかった…!
『…年とってるより童のほうがマシです』
「!俺はまだ年寄りじゃねえ!」
「ぷっ、あはははははっ!!十夜くん最高だよっ」
「…総司」
なぜに爆笑?
「"鬼副長"相手にそこまで言う新入隊士なんて初めてだよ」
まだ笑いが収まらないのか、ヒーヒー言いながらこっちを見てくる。
「……他の新入隊士も居るんだ。なめられちゃ困る。もう隊士部屋へ連れていけ」
「はいはい、くすっ。じゃあ行くよ。ついて来て」
苦い顔で言う副長に、満面の笑顔で返事をする沖田組長。なんともおかしな組み合わせだ。
私は沖田組長について部屋を出た。
「君も面白い子だね」
『ありがとう、ございます?』
全く。返事に困る。
「…女子の身で新選組に入隊するなんてね」
耳元で囁かれる。そのとき、沖田さんの目は笑っていなかった。
波乱の幕開け
(君の瞳…"復讐"でいっぱいだよ)
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