shortstory poison/学生スピシュタ 「それ使って」 「他にあるだろうが」 差し出したビーカーに少し嫌な顔をして、それでも受け取る。 白いカップと同列に並べられるそれ。 見る限り綺麗な透明なそれに、濃い黒の液体がなみなみと注がれた。 「何でもいいでしょ」 「良くない」 「そこらのカップより機能的だし」 「そういう問題じゃないだろ、だいたい‥‥」 人間的にとか、面倒なことを話し出したので本から顔を上げる。 こうまくし立てられては、どうせ集中できない。 かと言って話を聞いている訳でもなく、ただ何となく動く口唇をじっと見ている。 「お前、聞いてないだろ」 「うん」 スピリットがため息をついて、カップを持って出て行く。 湯気を立てるビーカーに手を伸ばして、さっきそれで劇薬を扱っていたことに気付いた。 fin. ――――― ビーカーでコーヒーな話 それでも懲りない博士 [*←][→#] [戻る] |