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とりっくおあとりーと??@



や「ひっつ〜!まだぁ〜!?」

冬「こんなこっぱずかしい格好で出歩けるか!!!



10月31日。桃色と銀色が闇夜にうごめく。
現世で俗に言う魔女と吸血鬼の格好をしたやちると冬獅郎が、瀞霊廷の道を走っている。


や「はやくしないとみんな寝ちゃうよ!!」

冬「どーせ浮竹の野郎は楽しみで寝ることねーだろ。」


多分子供溺愛の浮竹は(世間ではそれをロリータコンプレックスという)二人が来るのを心待ちにしているあまり、寝るに寝れないだろう。

や「はやく〜〜〜!!!!!」


冬「分かった、分かったから待ってくれ!この『まんと』ってのが長すぎて踏んでこけそうなんだよ!!」


自分が隊長という立場である以上、こけるという行為は彼のプライドが許すわけがない。
もちろんこの衣装を用意したのは言わずと知れた悪戯好きな彼の副官である。





冬「クソ………松本の野郎………


冬獅郎の頭の中で、彼女の高笑いが聞こえてきた。実際、今乱菊は隊舎で冬獅郎の格好を思い出し、気味の悪い笑い声を上げている。


や「ひっつー!!」

冬「や、やっと着いた…………。」


ようやく浮竹のいる十三番隊に到着した二人は、隊舎内にある浮竹の隊首室を目指した。


冬「しかし……、雨乾堂の池に鯉なんかいたか?」

や「あたしがあげたの!うっきーすごく喜んでた!」


雨乾堂とは、十三番隊の隊舎内にある広大な池の真ん中にある部屋で、浮竹はここで床に伏している事が多い。

しばらく歩いて雨乾堂の前に着いた二人は、浮竹を呼び出した。


や「うっきー!来たよ〜!!」

冬「居るか〜、浮竹〜?」


二人が襖越しに浮竹を呼ぶと、ガラッと襖が開き、白く長髪の温厚そうな顔をした人物、浮竹十四郎が現れた。




浮「やあ二人とも!やっと来てくれたね!」


両手にお菓子を沢山抱えていた浮竹は一度それを床におろし、二人の頭を撫でた。


や「うっきーねえねえ『とりっくおあとりーと?』」

冬「『Trick or treat』だろ?」

や「うんそれそれ〜!!」


やちるはにこにこしながら浮竹を見る。浮竹もつられて笑い返すが、少し困った顔をした。


浮「なあ日番谷君、『とりっくおあとりーと』って何だい?」



―――――は???―――――


何言ってんだこのオッサンは。冬獅郎は心底そう思った。この『ハロウィン』なるものを計画したのは他でもない浮竹だ。その当事者が何故ハロウィンの決まり文句であるこの台詞を知らないのかと一人呆れる。


冬「この現世の行事の事、誰から教わった?」


すると浮竹は、「ん〜〜〜〜」と必死に思い出しはじめ、ポンと手で相槌を打った。


浮「確か、四楓院からだ。」




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