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この世界は実によく出来ている


リボ+コロ





何故か一斉に風邪をひいた。
理由は恐らく別々なのだろうが、取りあえず七人が七人共、風邪をひいた。
その旨を伝えるためだけに電話がかかってきた時、俺は受話器を投げそうになった。投げなかった俺を誰か誉めてくれ。

『面白いこともあるんだな。ほら何だ、シンクロニシティ?だったか、コラ』
「んなこたどうでもいい。他に用が無いなら切るぞ」
『何だ、いつも以上に冷てえな、コラ』
「喉が痛ぇんだよ…。あんまり喋りたくな」
『うお、八人目!こりゃ偶然にしては出来過ぎてんじゃねーのか』

カラカラと電話口で笑うコロネロを殴りたい衝動に駆られながら、落ち着こうと息を吐いてみる。
するとそれをどう取ったのか、コロネロは心配そうな声を出した。
『…お前、そんなに酷いのか、コラ』
「あ?いや、喉と頭痛だけだ。熱は…計ってねえけど、ねえだろ」
『馬鹿、計っとけよ。…俺もほっときゃ治るっつったのに、ラルの奴が…』

ふん、と笑ってやると、コロネロは慌てたように話題を変えた。

『とにかく、治るまでは安静だぜ。仕事があるとか言うなよ。それで悪化させてみろ、ルーチェに怒られるは風に呆れられるは、ダブルパンチだぜ、コラ』
「俺の場合はヴェルデの野郎に嘲笑われるからトリプルだな」
『お前ら、似てるくせにな』
「似てねえ。…お前の場合はラルだな」

今度はくつくつと笑っていたコロネロは、俺の最後の言葉で固まった(多分)。

『……あのな』
「何だ?もしかしてもう怒鳴られたのか?」

明らかに楽しんでいる俺の声を聞いて、コロネロは溜め息をつく。

『もう怒鳴られたぜ、自己管理がなってないってな』
「そう言うラルも風邪ひいてんだろ?お互い様だな」
『…まあな』

そう言ったら黙れと言って殴られたけど、とコロネロはまた溜め息をついた。

『とにかく治るまでは極力何もしないことだな』
「トリプルだからな」
『……もしこじらせたらもう一回怒鳴られると思うか?』
「賭けるか?」
『…いや、やめとくぜ、コラ』

俺との賭けに乗らないということは怒鳴られるというのが判りきっている証拠だ。本人はそれが悔しいのか舌打ちをして、ふてぶてしく、切るぞと言うや否や挨拶の一つもしないでぶちぎった。
いつものことなので気にも止めず、さて熱でも計ろうとしたところで体温計など無いことに思い至る。
もう面倒くさくなって、いつもの格好のままベッドに飛び込んだ。








(運命共同体?)(そんな馬鹿な)








title.cacodemonica



―――――――
ただ電話してるだけ。



あきゅろす。
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