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太陽にキスをして


リボ+風





暑いからといって暑いと口に出してもどうしようもないのだが、どうしても口から出てしまった。
とてつもなく、暑い。
家の中にいても暑いのに外に出るなんて自殺行為なのだが、今日は用事があったので仕方なく家から出た。
やはり自殺行為である。暑い。日光が突き刺さる。太陽に焼き殺されそうだ。畜生見てろよ太陽、俺はお前なんかに焼き殺されはしねえからなとなんとも頭の悪いことを考えて(大方暑さにやられているから放っておいてほしい)、一時的に避難していた日陰から覚悟を決めて一歩踏み出したときだった。

「あ、」
「あ?」

唐突に前方から声を上げられて、目を隠すようにしていた帽子のつばを上げる。目の前には、見知った顔があった。

「こんにちは、珍しいですね。君がここにいるなんて」
「ちょっと用があってな。…何だそれ」

いつものように微笑んでいた風は、俺の質問と視線に苦笑して、それを振る。

「日傘、ですが」
「それくらい見りゃ判る。何でお前、そんなもの持ってんだ?」

風は苦笑したまま、首を少し傾げた。

「さっき渡されたんです。日に焼けたらいけないから、とか言われて」
「……ああ」

俺は納得して、カンフー服となんとも不釣り合いな真っ白い日傘を見た。風は綺麗な顔をしているから、どこかの男が勘違いでもして与えたのだろう。

「渡されたものを突っ返すわけにもいかないので貰ってきたんですが」

組み合わせがおかしいのは理解しているつもりですので何も言わなくて結構です、と言うのでからかうのをやめて、俺は風の手から日傘を取った。

「何、」
「俺も入れろ」

きょとんとした風を見ながら、俺は「日がきついんだよ」、となんとも言い訳がましいことを言った。
風はいつもの微笑みを顔に浮かべ、「これはまた、不釣り合いな組み合わせですね」と俺に合わせて歩きだす。









(これも全て、暑いせいだ)










敬語…って何だろう(え)











あきゅろす。
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