好きだなんて、
リボ→(←?)風
苛々していたのだ、色々なことが重なって。しかしそれを表に出す程俺は間抜けではないし、何もなかったようなふりに皆惑わされていた。だからあいつらも騙されてくれると思ったのだ。実際、ルーチェはどうか判らないが五人は上手く騙されてくれた。
だけど、あいつだけは。
「Ciao.Lei non sembra essere di buon umore.Qualsiasi cosa accadde a Lei?」
「…風」
とんとん、と肩を叩かれて不機嫌極まりない顔で振り返ると、見覚えのある綺麗に作られた顔が笑い掛けてきた。
「合ってるかい?」
「…発音が少し違うけどな」
「そうか…イタリア語は難しいな」
そう言って首を捻る風は手に皿を持っている。
俺の視線に気が付いたのか、皿をテーブルに置きながら、俺の向かいに座った。
「食べる?つまみになると思うよ」
「お前が作ったのか?」
「まあね。それで、どうして苛々してたんだい?」
「苛々なんてしてねーよ」
「昼間から飲むくらいには苛立ってると思うけど」
君は昼に酒を飲まないはずなんだけどね。
微笑みながら放たれたその言葉に納得する。
「苛立ってるときは飲んでるってか?」
「あと、舌打ちがいつもより三割増し」
それには思わず笑う。
「お前、そんなことが判るくらい俺のこと見てるのか?」
「…………そうかもしれないね」
否定しなかったことに内心驚きながら、俺はグラスにもう一杯注いだ。
「お前、イタリア語、どれくらい判るようになった」
「君が教えてくれた程度なら」
それなら、と俺は風にボトルの口を向ける。
「Posso ordinare un partner del liquore da Lei?」
「…Con piacere.」
明日に響かない程度にしなければなと思いながら、どこかで俺はそれが不可能なことを悟っている。
訳してみよう。
「Ciao.Lei non sembra essere di buon umore.Qualsiasi cosa accadde a Lei?(やあ。機嫌が悪いみたいだね。何かあったのかい?)」
「Posso ordinare un partner del liquore da Lei?(酒の相手を頼めるか?)」
「…Con piacere.(喜んで。)」
思いっきり翻訳機を使いました。私がイタリア語なんて判るわけがない。
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