Novel
07*03【Dom/Subユニバース】@
Dom/Subユニバース
Dom:SMでいうとS
Sub:SMでいうとM
という、オメガバースとは違う世界に触れた管理人です
このネタ書くの初めてなんで、設定に甘い部分ありますが、まぁニュアンスで読んで下さい
いつものメンバーで部屋に集まって、粗方解散した後だった。
「じゃあ錫也は哉太の課題、見てあげてね!僕は月子と屋上に行くから!」
「また明日ね!」
羊と月子が魚座寮の哉太の部屋を出て行き、哉太は錫也と二人きりになる。課題があるのは嘘ではないが、羊が月子を連れて先に部屋を後にしたのにはもう一つの理由があった。
遺伝子の構造上、現代の人間には男女のみの性ではなくもう一つの特徴が現れるようになった。それをDom、Subと言い、簡単に言うなれば支配・庇護する者、それを受ける者に分かれる。思春期を迎えた生徒達には学園の方針として一斉に検査が施行され、自分がDomなのか、Subなのか、それともいずれにも当てはまらない従来の者なのかが自覚できるようになっていた。
羊と月子の二人はどちらにも当てはまらず、錫也はDom、哉太はSubという診断結果がでている。しかし哉太は元来の性格からか庇護・支配される事を本能的に拒む性質にあり、今までパートナーが出来ることはなかった。哉太の場合、パートナーがおらず、何者にも支配されていない状態が続くと体調不良になってしまうという不利益が生じる。元々身体の弱い哉太は最近益々顔色が悪く、それを心配した羊と月子が敢えて錫也と二人きりになるシチュエーションを設けたのである。
「……まったく、二人共あからさまだな」
課題のページを開きながら、お見通しの錫也は半笑いでシャープペンを哉太に持たせる。二人はパートナー同士ではないが、幼馴染であり互いがDom,Subであることから錫也が気を遣って一緒にいることが多い。しかし哉太にはDomのコマンドが効いた事がなく……哉太はそれを知ってか知らずか飄々としている。
「あ?何か言ったか?」
「何も。取り敢えず課題を終わらせよう」
一緒にいるメリット。それを名言することはできないが、大切な幼馴染が体調を崩す程にSubによる影響がでている。錫也はただ、それを解消したかった。
「あ〜〜〜……ちょっと休憩」
二人で課題に取り掛かって1時間、集中力の途切れた哉太が錫也に声を掛ける。
「大分進んだし、少し休憩するか。あのアイスティー、冷蔵庫だろ?」
まるで自分の部屋の事のように錫也が腰をあげようとすると、哉太は「待てよ!」と声を上げる。
「お前な〜ここ俺の部屋だからな!お前が客なんだから……ちょっとは座ってろって!」
「そうだな……たまには息子の世話になるか」
「オカンめ!!」
錫也を制し、腰を上げリビングに行き冷蔵庫を開ける哉太。甘さ控えめのアイスティーを予め錫也が購買で買っており、そのパックを取り出しグラスを用意する。窓から差し込む光を反射するグラスにアイスティーを注ぎ、冷凍庫から氷を出した。
「あー、先に氷だったか」
「冷たければいいぞー」
哉太のぼやきが聞こえていたのか、錫也が遠くから返事をする。氷を2つのコップに入れ、その両方を持とうとした時……結露に手が滑り、利き手でない左手からコップが滑り落ちてしまった。
ガシャン!と派手な音が響き渡り、錫也が慌てて腰を上げる。
「哉太!?」
「悪い錫也!でもコップ落としただけだから!!」
錫也が急いで哉太のところに向かった時には時既に遅く、散らかったガラスとズボンの裾を濡らした哉太がいた。散らばったガラスをてきぱきと片付け、哉太を座らせた錫也は「まったく」とため息を溢す。
「哉太……」
「う……悪い、錫也」
「お前はどうして、自分が危険な目に遭うことばかりするんだ。俺の身にもなってみろ。お前は大事な幼馴染なんだ」
「……ッ!?」
「……?」
息を呑む哉太に動揺したのは錫也だった。
「哉太……?」
「いや、えっとな…その……」
DomはSubに対し、「グレア」という眼力のような力を発揮する。今の何気ない怒り……つまりグレアに哉太が反応したのか?と錫也は息を呑む。
「哉太……」
「っんだよ」
「kneel」
「っ…!!」
かくんと膝が折れ、哉太が錫也の前に膝をついた。
「哉太、もしかして……俺の『グレア』で…目覚めた…?」
続く?
2019.10.1
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