戦国のBASARA いつつ 【ちょっと待ってよ!SOS!】 病弱以外に不自由ない私は、なんだかんだで十歳くらいになりました。わーわー、やんややんや。 長い月日の中、そりゃぁもう色んな事がわんさか起こりましたとも。 尾張のうつけが、さらに戦力を蓄えてるだとか、越後の龍と甲斐の虎がよく合戦をしてるだとか、瀬戸内海では、毛利と長宗我部が睨み合いしてるだとか、奥州の伊達男が新たな脅威になってるだとか、織田信長の家臣、前田利家の甥が風来坊になっただとか、色んな情報が手に入るな、この城。 それと私の父親が《ばさら》を見せてくれました。少し力んだかと思ったら目の前の松の木が一瞬で真っ黒焦げですよ、ええ。炎属性おっそろしい!!ちなみに《ばさら》って《婆娑羅》って書くらしい。 あと、白髪の忍の名前も教えてもらいました。朧(おぼろ)って名前らしい。かっけーな、おい。朧にも婆娑羅を見せてもらいました。人の影になったり、闇に溶け込んだり、影から何やら無数の手が出てきたり・・。闇属性も怖いわー!!! ここまでこれば、ついでと言いますか母親の婆娑羅も見せてもらいました。お願いしてみると、そりゃぁもう良い笑顔でやってくれましたとも。庭の池を一瞬で凍らせるとか、小規模な吹雪をつくるだとか、氷のでっかい塊を出すとか・・・。ちょ、ええー。婆娑羅ってそんな色んな事できるのー!? ちなみに私には、まだ婆娑羅は使えないみたい。よかった、あんな危険な特殊能力なんて使いこなせないに決まってる。 十歳になって免疫力も上がってきたのか病弱だけど熱には、あまりかからなくなってきた。目下(もっか)の悩みは、体力が極端に少ない事かなぁ。少し庭を散歩するだけで動悸息切れ! 戦国時代みたいだし体力と護身術は覚えた方が良いよなぁ。今度、朧に相談してみるか。多分、必要ないとか言うんだろうな。餡蜜(あんみつ)で釣るか。うん。そうしよう。 『朧ー、いるー?』 「何ですか、姫様」 朧が天井から音もなく降りてくる。改めて忍ってすごいと思った。 『今って戦とかって酷いの?』 「・・・多分ですけど、これからさらに酷くなるかと」 『そっか、私も何かやった方が良いかなぁ』 「何かとは?」 『剣術とか?』 私の行き成りの申し出に朧は何ともいえない顔をしていた。や、何かすまん。 「やりますか?」 『良いの?』 「はい、ただし城主には内密に」 『よしきた!』 朧に一通り計画を話して朧を天井に帰す。明日から剣術と忍具の使い方を教えてくれるらしい。良い忍をもったもんだ。本当にありがとう。後で餡蜜を用意しとくね。朧は、最後まで心配そうな顔とか、大丈夫か?みたいな顔してたけど。大丈夫だって!大船に乗ったつもりで私が最強になるのを待ってると良いよ! や、最強まで行かなくてもいいけどさ。ある程度、山賊とか足軽兵に勝てるくらいの強さで。最強なんて私じゃ無理無理。 [*前へ][次へ#] [戻る] |