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レイテ沖海戦
第五話

突如雲から現れた日本軍索敵機に米艦隊は騒然となった。台風によって艦外にあったレーダーは軒並み破損して使い物にならなかった。その為雲の中を接近する水偵に気付かなかったのだ、また飛行甲板が損傷したことで直援警戒機の発進すらできない為でもあった。
「くそ、ジャップめ」
ハルゼーは窓際の壁を力一杯殴るとさらに日本軍を罵った。ちょうどハルゼーが指揮能力を低下させたレキシントンからニュージャージーに移って指揮をとろうとしていた時だった。直ぐにニュージャージーも高角砲を向けたがレーダーに頼り切っていた米砲術員は久しぶりの光学照準に慌てて碌な対空砲火が張れず索敵機を雲の中に逃がしてしまっていた。
「くそ、あれは機動部隊からではない ジャップはもう一個艦隊を展開しているはずだ、基地索敵機はまだ敵を発見できんのか」
「申し訳在りません、定時報告以外には何も入電がありません」
艦隊所属機に変わって今は基地航空隊が索敵を行っている、だが台風のごたごたで発進が遅れていた。基地航空隊は格納庫にいたお陰で比較的数がそろっている、小沢艦隊を攻撃したのもこの基地航空隊だった。
「長官!カタリナ飛行艇が敵艦隊を発見、戦艦5隻を基幹とした戦艦部隊です。空母は含まれていないとこのことです。現在敵艦隊はレイテに向かっています。なお敵の中には例の異様に幅の広い新造戦艦も含まれているようです」
「その後の報告は?」
発見したなら他にも巡洋艦などの報告があるはずだった。
「残念ながらここで電文は途切れています。恐らく撃墜されたかと」
足の速い艦偵(艦上偵察機)や水偵ならともかく鈍足で航続距離を重視した飛行艇では水戦(水上戦闘機)にも撃墜される、撃墜されたとみたほうが正しいだろう
「彼等のお陰で敵の詳細が分かった。全空母部隊から戦艦と重巡を引っこ抜け」
「長官、それは」
「どうせ空母部隊は当てにならん、戦艦には戦艦で決着を付けねば成らん!それに総隻数では劣っても戦艦の数では勝っているし口径と砲門数ではいい勝負だ 負けはせん!」
闘将と呼ばれるだけあって勇猛果敢だった。
「第3艦隊出撃!」
ハルゼーは自らが乗る旗艦ニュージャージーで戦艦と重巡を率いて第2艦隊にむかった。
参謀達もまさか自分達が負けるとは露も思っていない、自分達が乗るニュージャージーも僚艦アイオワも去年就役したばかりの最新鋭戦艦でさらにそれに続くサウスダコタも艦齢2年の新型戦艦でそれに対して日本軍は2隻以外戦前に建造された旧式艦だという情報を得ていた。どうころんでも自分達の勝利は揺ぎ無い、そう思っていた。


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