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性質(円鬼+宇宙人三人・ギャグ)
*キャラ崩壊しています。(グランとかガゼルとか)それでも大丈夫な方だけ下へどうぞ。ちなみにバーン視点です。



















有り得ない事も

時の流れ次第である


《性質》


常識とか人道とか、そういった事は人も宇宙人も関係ないと思う。

がらにもないとは思うが、心の底からそう思ったことがあっただろうか。



ー…いつも通り静かに時が流れていくここ、エイリア学園。
そのとある一角で、事態は起こった。

「……何だ、こりゃ?」

顔が引き攣るのを抑えられないまま、目の前にニッコリと柔らかく微笑むグランを見る。

別にグランを何だと言った訳ではなくて、問題はグランの抱き抱えているものに対しての言葉だ。
そのグランの腕の中にすやすや眠っているもの……特徴的なゴーグルマントを身につけた雷門中の鬼道とか言う奴、その人じゃねえか。

「ふふっ、面白い事言うねバーン。見ればわかるだろ?鬼道君だよ」
そんな事は端からわかってんだよ。
言いたいのはそこじゃねえよ。
何で雷門のそいつがエイリア学園のここにいるのかって事だよ、ボケ。
大体、何だ?その無駄に穏やかな笑顔は?
余計に腹立たしいんだよ。

色々と腹に思う事はあるが寸前で止めておく。
これ以上深く突っ込んでも、余計いらつくだけだ。
俺だってそれくらいは日頃の積み重ねで学習している。

「…おい、グラン。人間達の間で属に言う『誘拐』って言葉、知ってるか?」
「やだな、知っているに決まってるだろう?」
「…知っててやったのか。終わったな、お前」
「何言ってるんだい?それは地球での話だろ?ここはエイリア学園だよ」
「…人としても宇宙人としても…レベルの話をしてるんだ…」
「大丈夫、ちゃんと合法的に連れて来たから」
「合法的ってどこの法だよ…」
爽やかな変態ってたち悪いよなー…。
あんまりコイツの面見てると同類になりそうなので視線を遠くへ反らす。


「…何の騒ぎ?」
騒ぎを聞き付けてか、うるさそうに顔をしかめて部屋に入ってきたのはガゼル。
よかった、まだマシな奴が来たか。
「……それ」
ガゼルもグランの抱えているものに気が付いたのか、じっとそれを凝視している。
「ガゼル、お前もグランに何か言ってやれよ!」
「…………グッジョブ!」
「そうそう、グッジョブ……って、ええ?!」
ガゼル?ガゼルゥゥ?!
お前そんなキャラだったか?!
「グランもたまにはいいことするじゃないか。今回は褒めてあげるよ。君の存在自体は褒めたくないけど」
「…ガゼル?今最後に何かひっかかる事言わなかった?」
「おい、ガゼル!こんなアホを褒めるんじゃねえよ。オートで図に乗るから。つーか、どうすんだよコイツ…」
「可愛い子ならいいじゃない。ここにおいとけば」
「可愛いぃ?」
ガゼルの言葉に唸りながらまじまじと鬼道の顔を眺めてみる。

まあ確かに整ってる顔かもしれない。
肌白くてちまっこくて。
お、ゴーグル取ると幼く見えるな。
「ゴーグル取るなんて…大胆だね、バーン」
「…何で乙女口調なんだ、グラン…。キモい」
「だっていきなりゴーグル取るから…ふふっ」
「……マジでいっぺん、お前自身の宇宙規模に変態的でかつ絶望的な脳内世界の断片を覗いて見てえよ」
「ありがとう」
「褒めてねえよ。何、誇らしげな面してんだよ。どこをどう聞いて褒め言葉と受け取ったんだよ?」
照れてんじゃねえよ。
何だコイツ?本当に頭おかしいんじゃねえの?
いや、知ってたけど。

「つーかお前、円堂を気に入ったんじゃなかったのかよ?」
散々円堂構ってた割には何でコイツをさらってきたんだ?
ふとした疑問をついつい投げかけてしまった。
あーあ、さっき深入りはやめようと思ったのにな。
「これはこれ、あれはあれ。円堂君とは別問題だよ」
「問題…??ようは無節操って事か」
「無節操だな」
「慈愛に満ちていると言ってほしいね」
いやいや、そこは否定しろよ、普通。

てかコイツを理解しようと深入りしたのが間違いだったんだな、やっぱ。
うん、俺が悪かった。
素直に謝るから消えてくれ。

「……ぅ」
なんかもうどうでもよくて、脳内自己解決しようとした時、グランの腕の中のもの…鬼道が身じろぎをした。
お、ようやくお目覚めかよ。
「ああ、ほら。バーンがうるさいから起きちゃったじゃないか」
「俺のせいかよ?!」
うわ、変態に注意されたよ、俺!?

軽くショックを受ける俺を余所に、寝起き眼に目を擦りながら首を傾げる。
どうやら自分の体制に疑問を思ったのか、目を細めながら顔を見上げる鬼道。
「やあ、鬼道君、おはよう」
あ、固まった。
可哀相にな、そりゃそうだ。
目覚め一発が見知った変態…いや、敵なんだからな。
しかもそれに抱き抱えられてるなんて悪夢だろうよ。
「…な、な?!何故お前が…?」
「何故って、ここがエイリア学園だからだよ。君をここへ招待したくてね」
「な?え?…そ、そういえば誰かに背後から頭殴られた記憶が…」
「……おい、グラン。テメェさっき『合法的』って言ってなかったか?どこが合法的だ?ん?どの面でそう言ったんだ?その面か?その面なんだな?その面見てると不快になるんだよ。今すぐもぎ取れ」
「バーン、話がズレてきてるよ?大体、顔もぎ取ったところで中身変えなきゃ意味ないだろ?」
「…宇宙人は顔を取り外しが可能なのか。宇宙文明の発展は凄いな」
「いやいやいやいや。ガゼルは何で冷静に返答してるんだ?!で、鬼道君?君なら何かがおかしいって気付いてくれるって信じてたんだけど?!」
めずらしく焦るグランに「違うのか?」と少し残念そうな鬼道。

頭打ってネジ外れたか?
つーか見たかったのか、鬼道?

「どうでもいいが、帰らせてもらってもいいか?円堂と練習に付き合う約束しているんだが」
「……お前、何でそんな普通に対応してんだ?」
「そうだよ、円堂君より楽しい事、手取り足取り教えてあげるから」
「…おいグラン、今の俺とお前の話のどこに繋がりがあったんだ?文法おかしいだろ」
「なんでもいいからいい加減鬼道から離れなよ、グラン。変態がうつる」
「え?ガゼル、スルーか?俺の話はスルーなのか?」
え?何これ?
一番最初から話に入っているのに、何このアウェー感?
三人してスルーとかやめてくれ。
まるで俺の方がおかしいみたいじゃねえか。

「ヒロト、そいつの言う通りだ!いい加減鬼道離せよ!鬼道は俺と練習する約束してたんだから!てか、鬼道は俺のだから!」

……うん、円堂。
お前はいつからそこにいたんだ?ん?
なんかあまりにびっくりで逆に冷静になっちまったよ。
「え、円堂?!何でお前ここに…?」
「お前を連れ戻しに来たんだよ、鬼道」
「…つかさ、お前どうやってここ探し当てて来た訳?」
「愛の力だ!」
「…っ!円堂っ!」
いや……悪いが鬼道、そこときめくところか?
一見、スゲェカッコイイ事言ってるように思えるが、言ってる事明らかにおかしいからな?
電波受信しない限り愛云々だけでここまで来れるか、アホ。

何なんだ?ここにはまともな奴いないのか?
あ、そうか。
そもそもコイツらにまともさを求めるのが間違いなんだな。
ああ、もうそれでいいや。
「…バーン。君だって馬鹿なんだから人の事言えないだろ?」
うるせぇよ、ガゼル。
………って、あれ?俺今声出して言ったか?
え?どうしよう、聞きたいが何でか怖くて聞けねえ!

「円堂、取引をしよう。そこのグラン持って帰っていいから鬼道置いていってよ」
「……それに関しては俺も賛成だ」
「いや…別にいらないんだけど」
「今ならもれなくバーンも付いてくる!」
「ーって、おいっ?!」
もれなくって何だ?!
押し売りしてんじゃねえよ!
大体、何で俺まで…
「ふふふっ、お買い得だよね」
「ふふふじゃねえよ、グラン!テメェはなんでそんな和やかなんだ!テメェも厄介掃いされてんだぞ!?頭悪いのか?悪いのか?知ってたよ、変態!お前らといると俺が可哀相な奴に見えてくるから嫌なんだよ!」
うああ、と頭を抱えてしゃがみ込む俺を、ほほえましく見下ろすグランとため息を付くガゼル。
何で俺はお前らにそんな態度取られなきゃならねぇんだ!


「……なあ、鬼道」
「何だ…円堂?」
「これって勝手に帰っていいのかなぁ?」
「………いいんじゃないか」


ーそうして、今日も平和に一日が過ぎていく。





**************

ネタ提供していただいた宇宙人絡みの鬼道さん受けの話を書いたつもりなんですが……つもりなんですが…。あれ?
宇宙人で誰を出すか考えてて、ジェミニやイプシロンメンバーも考えてたんですが。宇宙人の中で誰を変態にしたら書きやすいか、と考えた時に真っ先に思いたったのがグランとガゼルでした。ごめんなさい二人共。で消去法でツッコミはバーンに。バーンは一見馬鹿そうであって意外と常識人だといいです。で、周り二人に振り回されて、いじられていればいい。

ごめんなさい、せっかくの素敵なネタを生かしきれませんでした!
…これってギャグなんですかね?

読んで下さったお優しい方、ありがとうございました。


2009.9.26


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