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TOG・TOGF
こたつに蜜柑(兄弟)

冬のおこたネタ(現代ver)





冬の寒さが厳しくなってきた最近、二人はアパートの居間にあるこたつで暖をとるのが日常となっていた。

「ひぅあーとぉ。いはん」 (ヒューバート。蜜柑)

口に蜜柑の一欠片をくわえながらアスベルはいった。
彼は今、テレビのクイズ番組に目が釘付けである。

「自分で取ってきて下さい」

ヒューバートは本を読むのに夢中である。

ふと、ヒューバートも手元の蜜柑が無くなったのに気が付いた。

「俺、今テレビみるのに忙しいからさ、頼む」

「それを人の顔を見ずに言いますか?」

「えぇ……。別にいいだろ?今脳を鍛え上げてるんだから」

「クイズ番組を見たからといって頭が良くなるわけではないでしょう?」

「知識がつくからいいんだ」

アスベルは本気で動かないつもりらしい。
さらにヒューバートに言い返した。

「本を読むより短時間で知識つくぞ」

「忘れるのも短時間ですみますね」

「眠くならないし」

「集中力が足りないだけだと思いますが?」


む、としたがアスベルは今ヒューバートが読んでいるのは、自分が貸した推理小説だと気付いた。
そして弟に蜜柑を持ってきてもらう方法を考える。

「なぁ、蜜柑持ってきてくれよ」

「ご自分でどうぞ」

「その小説の犯人の名前、いうぞ」

「では今のクイズの答えをいいましょうか?」

「昔は素直だったのに」

「あなたがそれをいいますか?」

何度も言い返されてアスベルの表情はますます曇っていく。

「犯人は探偵自身」

「そんなことが……」

「最後の少し前でわかるはずだ」

アスベルに小説の結末をいわれ、ヒューバートは本気で怒ったらしい。

「そのクイズの正解は三番です」

「えぇ……」

暫くしてテレビの音声がヒューバートの答えと同じ数字をいった。

「こうなったらじゃんけんで決めないか?」

アスベルはいつになく挑発的に言った。

「いいでしょう」

ヒューバートも眼鏡のブリッジを押し上げながらこの勝負に乗り気のようだ。

数秒の沈黙。

じゃんけんというものは実は奥が深い。
勝つも負けるも相子も、確立は全て三分の一である。
ー兄弟なら勝負の回数も多い。
だからこそ、毎度パターンが変わってくる。

(ヒューバートが出すのは)
(兄さんがだすのは)

「「じゃんけん、ぽん!」」

結果、アスベルはグー、ヒューバートはチョキだった。


アスベルはにやり、と意地悪そうな勝者の笑みを浮かべた。


「蜜柑、冷えてて美味しいの、頼んだぞ」

ヒューバートの表情はその言葉を受けて苛立ちを帯びる。


「……わかりました」





不機嫌そうな弟の顔をみて、彼は自然と満足感を得ていた。頭の良い弟を打ち負かせたと、優越感とも違う気持ちで満たされた。



すぐにヒューバートは戻って来た。

蜜柑を十個ほどを抱えて。
そしてこたつの上にあるカゴに八つ入れ、アスベルが座っている隣にやって来る。彼に蜜柑を渡すために。


「蜜柑です」


「ありがとな」


素っ気ない言葉ばかりだ、と思う。
そして超が付くほどの負けず嫌いである。
ただ、約束は守るし頼りになる。
そんな、自慢の弟だ。


そんなことを考えているとは思いもしないだろうが、ヒューバートは兄の肩に手をかける。


「はい、どうぞ」


首の後ろに冷たい物が触れ、手が離される。

背中を冷たい物が伝うように落ちていく。

「ぁっ!!ひゃっ!!!!!!」


高い声を上げたアスベルをみて、犯人は笑いを堪えていた。


「蜜柑か!?」


背中のと服の間にある蜜柑が体温を奪っていく。


「貴方が持ってきてと言った、よく冷えた美味しい蜜柑ですからね」

そう言うと彼は再び小説を読み出した。




今度は彼が意地悪そうに笑っていた。









あとがき

ほのぼの系の兄弟が書きたくて出来上がった物です。

落ちが成立しているのかは微妙……

誰か文章力を分け与えてください(涙)




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あきゅろす。
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