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TOG・TOGF
おせっかい(HA+S)
11月頃のお話
 恋人になってちょい過ぎた頃……の設定です。








「もう11月だな。ヒューバート」

「そうですね」


少し肌寒い風が吹き茶色の役目を終えた葉が飛んでいった。ぼくは仕事も冬に入る前に一段落したので、故郷-ラント-を訪れていた。久しぶりに再会した兄さんは珍しくマフラーをまいていた。白と青系の色が綺麗に模様を成すマフラーだ。


「そのマフラーはどうしたんですか?」

「実はな、ソフィからもらったんだ」


兄さんはとても嬉しそうに言った。誰が見ても親バカだが……。


「ただ…」

「何か問題があるんですか?」

すると兄さんはマフラーをはずしはじめる。


「長いですね……」


まあ見た時から思っていたが。改めて見ると一人で首に巻くには長すぎる。はぁ、と珍しく溜め池をついて、兄さんが言った。


「なぁ、ヒューバート、相談にのってくれないか?」
「わかりました」

兄さんから相談といえばソフィのことが多い。
さらにいうならば教官のことだが……


「実は、最近またソフィが教官に何か教えてもらっているらしいんだ」


予想的中。やはり教官でしたか。頭のなかで可能性を広げる。


「誰から訊きましたか?」

「シェリアとフレデリック」

確かな情報らしい。
思えば教官は時に余計なことまでソフィに教えていることがある。
国の仕組みや一般常識までなら良いだろうが、恋愛関係や恋人とは何たるかを叩き込んだ(?)らしい。
ひょっとしたら現在進行形かもしれないが……。



「あっ!ソフィ」


噂をすれば影がさすとはよくできた言葉だ。兄さんの呼ぶ声でソフィはぼくらに気付いたらしい。駆け足でこちらに近づいてくる。


「マフラー、どうだった?」

「よかったぞ。」


兄さんが笑顔で告げると意外な言葉が返ってきた。

「教官がね、教えてくれたの。こいびとどうしっていう人たちは皆、寒くなると一緒にマフラーをするんだって。だから、この時期のプレゼントにマフラーを選ぶなら二人分の長さのものがいいんだって」

ソフィは笑顔を浮かべ、さらに続ける。


「二人でしてね」


大の大人が少女に何を教えているのやら。そもそも常識だけを教えるべきだ。まったく、と溜め息をつくと


「してみて?」


ソフィは期待に満ちた瞳で見つめてくる。
それを見た兄さんが慌てている。やはりソフィに弱い。そんなところも素敵だと思うが。


「いいですよ。寒いですしね」

「ひゅ、ヒューバート」

兄さんが恥ずかしげに頬を朱に染める。
こういう時、フォローを入れるのも自分の役目だ。兄さんの耳元で小声で囁く。


「兄さん、ソフィを悲しませたくないでしょう?」


その言葉に勢いよく首を縦にふった。




******

寒さを埋めるのは一緒のマフラー。

マフラーの肌触りも良いが

この距離が堪らない。



ほんのりと、胸が熱くなるような

不思議なあたたかさ。


11月の寒さに少し感謝。


そして、おせっかいな誰かさんにも少し感謝。


いつもより、ゆっくり歩きましょうか。









*****
後日、某教官のどや顔に赤面する兄を弟が発見するのはまた別の話





会話の量が多くなる癖は不治のものと思われます。
どうか気にしないでやって下さい。




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あきゅろす。
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