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TOG・TOGF
一撃必殺☆(HA)

旅のどこかの宿屋の一コマ
……兄弟((笑))






ぺろり、と兄さんは幸せそうな顔をしながらアイスキャンディーを舐めている。

「やっぱりバロニアのアイスキャンディーは最高だな」



兄さんの好物はカレーとそれである。
今舐めているそれも騎士学校に通っていた頃もよく食べていたらしい。

そのときも、こんな幸せそうな顔を誰かに魅せていたのだろうか?
いや、見せていたのだろうか?

ぼく以外に、ぼくではない誰かに……

それはどうしようもない時間の中で隔てられた壁である。
イヤだった。望みもしないでできてしまった壁なんて。七年という時を、共にできなかったことが。

自分だけの“特別”が欲しい。

でも、つい反発的なことを言ってしまうことが多々ある。

そして……いじめたくなる。
苛めでも虐めでもない。
いじめてやりたい。

この前教官に「お前、Sっ気があるな」と言われたが、実際そうなのだろう。

もう一度あの笑顔を見る。

困らせたかった。

そして想うがままの言葉を告げてみる。

「本当に大好きなんですね、それ」

「まあな。やっぱりバロニアのアイスキャンディーはソーダ味だなぁ」

兄さんは屈託のない笑みを浮かべながら言った。


「なら、ぼくとアイス、どちらが好きですか?」



我ながら呆れてしまうような定型句だ。

しかも、アイスと自分を比べる者なんているはずがない。

流石に返事が返ってこないことはないだろうが。


「んー」

アイスの棒をゴミ箱に放り投げ、そして彼は一息で言った。



「ヒューバートにきまってるだろ?今更何を訊ねるんだよ」



これを衝動と人は言うのだろう。

つい、抱き締めてしまった。


「どうしたんだ?急に」


割と落ち着いた様子で尋ねられた。


「兄さんのせいです」


ぷいっとそっぽを向くふりをして、言ってみる。


「今……押し倒していいですか?」


もし許しが得られるのなら……


しかし間髪入れず、彼は淡々と告げる。



「え?今夕飯前だぞ。そういうのは真夜中にな。それに夕飯、カレーだからもういかないと…………ってあれ?」



ヒューバートは力ない沈黙をつくるしかなかった。







解説
スキル――テンネン

一定の確率で相手を一撃で葬り去ることができる。
※発動のタイミングは不明である。
※このスキルは固有のもので、自力で手に入れることはできません。

アスベルは産まれながらにしてこのスキルを常備していました(笑)



余談
「天然とは最悪にして最強のスキルである」

という名言を残したM・シザーズさん曰く、

その典型的な例は彼らであるんだとかそうでないとか……






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あきゅろす。
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