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bad end (AT)
アレルヤが病んでます。苦手な方は要注意。死ネタ?











「僕、生まれ変わったら君の血液になりたい」


僕の向かい側に立っているオッドアイの男が急に言い出す。
彼は、アレルヤはいつも突拍子もないことを言う。大抵、僕には理解出来ないことだ。


「…言ってる意味が分からない」
「僕がティエリアの血液だったら、君の中を、血管一つ一つを巡って君の心臓に戻って、また巡る。これってとても素敵なことだと思うんだ」
「………」


何を言っているのか説明されても分からない。


「死にたいということか」


思い付いたことを言ってみる。僕は君に死んで欲しくなんてないのに。
ガンダムマイスターである僕達は、いつ死んでもおかしくない。常に死が目の前にいる。自分から死にたいなんて自ずと叶うかもしれない。


「君となら、それも良いかもね。死んだらって話」


僕はアレルヤのことが死ぬほどすきだ。彼のためだったら命さえ厭わない。そう思っていることは絶対言わないと決めているが。


「なんて言ったらいいかな、君を生かしているって事実が僕は欲しいのかな。だって僕は君がいないだけで簡単に死んでしまうから」
「……僕、は」


もし、アレルヤが僕の前からいなくなったら?
考えただけでも恐ろしい。背筋が凍る。
多分僕も死んでしまうだろう。もう、君無しでは生きていけない。あぁ、いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。


「ねぇ、提案」


アレルヤが笑顔でこちらに寄ってくる。なんだか冷ややかというか、恐怖を感じさせる笑顔だ。
無意識に僕は後ずさる。


「一層のこと、今ここで二人、死んでしまおうか?次に君が目を開けたとき、いや、君という存在ができたときから僕達は一緒にいられるんだよ」
「……」


もう君が僕の血液になることは絶対なのか。
アレルヤは新しい発見をした子どものように嬉しがる。


「考えただけで興奮するね!」


いつの間に距離は縮まり、お互いにあと一歩踏み出したらぶつかる距離になっていた。
アレルヤが僕の髪に触れる。少しばかりいじって離す。


「じゃあまずは死に方から考えようか?君はとても美しいからグチャグチャになるようなのは嫌だよね。あぁ、君のことは僕が殺してあげる。自殺なんか許さないよ」


先程と変わらない冷ややかな笑み。

僕は気付いた。
今僕はアレルヤに殺されても良いと思っていることに。
アレルヤは僕に問い続ける。


「んー服毒か首絞めかな?ティエリアはどれが良い?」
「……僕は、」


なんだか泣きたくなる。 きっと悲しいのではなく、嬉しいのだと思い込むことにする。
決心して、選択肢を告げる。これを言ったら、何が起こるか目に見えている。


「僕はアレルヤに殺されたい」


僕の言葉に、アレルヤは心から嬉しそうに笑う。 こういう顔は嫌いじゃない。もっと見ていたい。


「…じゃあ目を閉じて、力を抜いて」


言われた通りにする。
アレルヤの冷たい手が僕の首にかかる。


「ねぇ、最後にキスをしようよ」


僕は閉じていた目を開ける。彼の目はどこを見ているんだろう。

きっと、いつかの誰かみたいに、死を見ているんだろう?

僕のことなんか見ないで。


「いやだ」
「最後くらい良いじゃない」
「最後じゃない」


これが最後なんて言うなら、もう二度と触れ合えないんだろう。


「次に生まれたとき、また会うだろう?」
「でもその時にキスは出来ないよ」
「出来るさ、君となら」


だって、


「君と僕は死ぬまで一緒なんだろう?」
「…そうだね、じゃあ再会のキスをしようよ」


つまりキスがしたいだけか。
苦笑しながら了承すると、唇を重ねられる。
同時に首が締まる。
苦しくて、思わずアレルヤの腕を掴んでしまう。しかし、アレルヤの腕は全く動かず、首にかかる力が強くなる。
唇が離されて自然と酸素を求めるが、息は吸えない。


目から涙が一筋流れた。 苦しさからなのか、それとも嬉しいのか。
どちらでもないかもしれない。


「ティエリア」


意識が朦朧としているなか、アレルヤが僕に話しかける。
君の声を聞きながら死ねるなんて、なんて最高なんだろう。


「愛してた。殺したい程」


知ってる。


「またね」


またね、か。
僕も君を愛していたよ。

それにしても、
彼も僕も相当病んでいるな。お揃いでお似合いだ。

それを最後に僕の意識は途切れた。


end.


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