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Rainy (AT)

今日も雨が降っている。 僕はこの雨というやつがすきだ。
全てを洗い流してくれる。なにもかも。



ミッションのため、僕は 今地上にいる。用意された建物の室内には僕と、さっきから悪態を呟いているもう一人がいる。

「またコレか…。いい加減うんざりだな」

僕の隣にいる、気難しくて、プライドが高く、それでいて美しい彼は言う。

「ティエリアは嫌い?雨」

僕は窓を開け尋ねる。

「こんなじめじめして、臭い水滴のどこをすきになれと言うんだ」

そう言って紅い瞳をこちらに向ける。なんて綺麗なんだろう。
ティエリアの言うことも分かる。大気中の汚い空気が原因だろう。僕だって、この臭いはすきじゃない。

深呼吸してみる。
肺の中に湿った空気が入ってくる。
…あぁ、やっぱり良い気持ちはしない。

こんな淀んだ場所、君には似合わないね。

「…君には、汚すぎるね」

僕にはお似合いだ。

「昔の人は、雨乞いなんてしていたらしいよ。」
「雨乞い?」
「そう。雨が降らないで作物が実らないときとかに、神様に願うんだ」
「…馬鹿らしいな」

興味なさそうに、君は窓の外に目を向ける。
雨の音を聞き洩らすまいと、耳を傾けているようにも見えた。

「そういうことは、自分達でなんとかするものだ。…死にそうになったって、誰も助けてくれない」

なんで。
なんでそんな悲しいこと言うんだ。

「……もし、」

思わず、言葉が口から出ていた。君があまりにも泣き出しそうな顔をして言うから。

「もし、君がどうしようもなくなったとき、もう死にそうだってとき、そのときは、僕を呼べば良いよ」

そしたら、僕は君の雨になって空と君を繋ぎ止めるよ。だから、

「君のこと、誰も助けてくれないなんて思わないで」

紅い瞳がまたこちらに向けられる。メガネ越しに見えるティエリアの目は、気のせいか少し潤んでいるようだ。

もしかしたら、僕の方が泣きそうな顔をしていたのかもしれない。

「アレルヤ」

君の凛とした声が僕に降る。

「僕が君を呼ぶことは無い」

今度は僕と反対方向を向いてしまった。
なんとなく、そう言われる気はしてたんだ…。
僕の心に雨が降る。

「呼ぶまでもなく、僕の側にいるんだろう」

照れているのか、こっちをみようとしない。そんな君が可愛くて、抱き締めたくなった。


あぁ、心の空模様は雨のち晴。いつでも君次第。 雨もまた、素敵な予感。


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あきゅろす。
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