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お手をどうぞ





華やかな空間。流れる曲に合わせ踊る生徒達を只ぼんやりと壁に寄り掛かりながら眺めていた。
時折誘いに来る女子生徒を交わして退屈そうに欠伸を一つ漏らす。


「くあぁ…」


どうもこういう空間は性に合わない。今着ているスーツも堅苦しくて今直ぐにでも脱いでしまいたかったが着替えを持って来ていない為それも断念した。
只ぼんやりしているのも暇な為、余り空腹を覚えてはいないが並べられている料理へと手を伸ばしてそれを腹の中へと通す。少しの空腹を満たしていきながらホール中央へと視線を向け直せば袴姿で踊る天十郎の姿が目に留まった。
自分とは逆に楽しそうにしている天十郎を見れば自然と笑みが浮かぶ。

聖帝舞踏祭が一時は開催出来なくなるかもしれないと知った時、自分には関係無いと思ったが天十郎が騒ぎ立ててしまい、最終的には生徒会を手を組んで開催する事が出来た。その経路は個人的には余り好ましくは無かったが、天十郎が喜んでいるのならば、と口を出す事はしなかった。


「おーい、千!」


天十郎の姿を見ていればその視線に気付いたのか踊りを中断し、ホールの隅に居る千聖の元へ手を揺らして傍へと寄ってくる。


「なんだ、天?もう踊らなくていいのか?」

「おうよ!結構踊ったしな。それより喉渇いちまってさ」


満足行くまで踊り切ったのか満面の笑みを浮かべながら傍にあったジュースのグラスへと手を伸ばしてそれを一気に煽る。
その様子を見ていると千聖も喉が渇いたのかグラスに手を伸ばしてジュースを飲む。一息着いたところでグラスを元の位置に戻し天十郎の頭を軽く撫でた。


「そうか。確かによく踊っていたな」

「まぁな、そういうおめぇは全然踊ってねぇんじゃねぇか?」


撫でられる事が気に入らないのか小さな音を立てながら千聖の手を叩いて離すよう訴えれば大人しく千聖は撫でていた手を離す。そして指摘された事に思わず肩を竦めてしまった。


「……俺はこういうことは余り好かん」


思わず本音を漏らす。本来こういう事は苦手だった。
人混みも余り得意では無いし、こんなところで踊れば目立つのも目に見えている。


「んだよ、つまんねぇなぁ。せっかくの聖帝祭だって言うのによ、一曲くらい…」

「遠慮する。それに…人が多過ぎると酔ってしまうんだ」


思わず口から嘘が零れた。
しかし不満げな天十郎を納得させるにはこれくらい言った方がいいと思った。そうすればもう無理に踊れ、なんて言わないと思ったから。

千聖のその言葉を聞けば無理に踊らせようなんて考えは天十郎の中からは確かに消えた。その代わり、違う思いが頭をよぎり、気付けば千聖の腕を強く掴んでいた。


「ッ、天…?」

「体調悪いのか?なら、こっち来やがれ!」

「…は?ちょっ…おい!」


天十郎は『酔ってしまう』と言った言葉を『酔って体調が悪い』と勘違いしてしまい、掴んだ千聖の腕を無理矢理引っ張り休ませようとホールを後にした。
天十郎自身が準備した場所な為、どの部屋が使われていないかも把握している。
ぐいぐいと腕を引きながら通路を歩く姿に千聖は何も言えずにただ天十郎の後を歩いた。

(…ま、あの空間に居るよりはマシか)





―――――





天十郎に連れられてやって来た部屋は多少狭かったが二人で使うには丁度良い広さだった。少し大きめのソファが目立つ。
そのソファまで誘導され千聖はゆっくりと腰を下ろす。柔らかなソファの感覚が心地好くて自然と瞼が降りた。が、不意に顔に影が降りて来て暗くなった事に不思議に思い、閉じていた瞼を開けば天十郎の顔が近くにあった。


「…ど、どうした?」


流石に近すぎる距離に流石に驚いて動揺が表に現れてしまう。しかし天十郎はそんな事は気にせずに心配げな表情で顔を覗き込む。


「体調、どうなんでぇ?」

「あ?ああ…大丈夫だ」


この部屋に連れられて来た理由を漸く思い出し、平気だと言わんばかりに手を伸ばしそっと頭を撫でる。
その言葉にホッとして息を吐き出す天十郎の隙をついて腕を掴み、そのまま引き寄せると同時に近かった顔の距離を更に近付けて軽く唇を重ねた。


「うおっ…、ッ…!?」

「俺は元気だ、この通りな?」


意地悪笑みを浮かべて言えば一気に天十郎の顔が赤くなる。

こんな姿を見るのは久しぶりだ。

此処最近は聖帝祭の準備でゆっくりする時間が無かった為にこうやって触れる事も満足に出来て居なかった。そう思えばもっと触れたい、そんな感情が一気に膨れ上がる。
多分この場所を知って居るのは天十郎と千聖、二人だけ。ならば、と天十郎の耳元にそっと囁いた。


「天、久しぶりに…いいだろう?」





―――――





ぐちゅ、と卑猥な水音が室内に響く。千聖の愛撫により硬度が高まり先走りの溢れる精器を上下に扱き上げてやればビクビクと天十郎の腰が跳ね上がる。
聖帝祭の準備に終われ、性欲を発散する暇が無かったせいか心無しか感度が何時もよりいい気がした。


「っふ、ぁ…アッ、っ!」


着物の合わせを乱し肩まで下ろさせ、曝した鎖骨に甘く噛み付けば胸元が跳ね、甘く走る痛みにすら感じてしまって精器が脈打つのを感じた。
一度イかせてやろうかと考えるも千聖自身もそんなに余裕は無かった。天十郎と同じ、性欲を発散していなかった為に限界に近かった。
精器を扱く手はそのままに、自分の指を口に咥え、咥内に唾液をたっぷりと溜めて指を濡らしていく。


「っあ、ァ…ッンん」


与えられる快楽に身体を素直に反応させながらも千聖へと視線を向ければ指を唾液で濡らしている姿が視界に映った。その姿が酷く妖艶に映り、目が離せなくなる。
ボーッとその姿を眺め、油断していた為に濡らされた指が秘部にあてられてゆっくりと中に侵入して来る事に瞬時に気付けなかった。


「うぁ…ッ!っく、あ…ァ」

「…少しキツいな」


秘部に走る痛みに思わず表情が歪むが、どう受け入れればいいか分かっている為ゆっくりと息を吐いて極力身体からの力を抜くようにする。そうすれば自然とキツく締め付けていた内部が緩み、その隙をついて一気に指を根元まで沈めた。


「あ、あぁっ!」


その刺激に思わずソファに爪を立てたが痛みは感じない。
千聖は天十郎を気遣い、埋めた指をゆっくりと動かし内部を広げていくが乱れる天十郎の姿を見て既に自分を抑える事が出来なくなってきていた。
指を無理に二本増やし、解すようにぐるりと回したり指を中で広げれば中が程よく解れる。


「んぁっ、あ…く、ふぅっ…!」

中で暴れる指の動きに絶頂が近くなっていたが、迎える前にズルリと中から指が引き抜かれた。
中から指が引き抜かれた喪失感からか、物足りなそうに秘部が小さくヒクつく。その感覚に天十郎自身も気付き、恥ずかしさに思わず顔を背けた。
そんな天十郎に小さく笑みを零し、頬に口付けを一つ落としてから袴を腹の上までもう一度捲り上げ直し、硬く勃ち上がった精器の先端を軽く秘部に擦り付けてからグッと押し込んで中へと挿入する。


「ッア、あぁァッ!」

「くっ…!」


物足りなさにヒクついていた秘部に挿入され、微かな痛みと望んでいた精器の侵入の入り混ざった感覚に大きく身体が跳ね上がる。内部の狭さと小さな抵抗を感じながらも久々に侵入した内部の暖かさに身体が震え、戸惑う事無く一気に根元まで捩込んだ。


「んぁっ、は…あ、くぅっ!」


多少の無理を感じつつもそれ以上に内部を満たされ、身体は熱に犯され呼吸が弾む。
両腕を千聖の背に回して身体を密着させるのを合図に、千聖は只欲望のままに腰を打ち付ける。


「ア、あぁっ!ちょ、待っ…っひ、ァッ!」

「っは、悪い…な、無理だ…ッ」


容赦無い突き上げに身体が着いて行かない。
容赦のままに腰を打ち付けてくる癖に、無意識なのか前立腺を刺激してくる事も忘れない。グッグッとしこりを押し上げられてしまい、どうしようもないくらいの強い快楽の波に襲われて嬌声が止まらない。


「あっ、ア…ッは、ぁあァッ!千、ッ…せ…っあ」


余りの快楽に自然と目尻に涙が浮かぶ。その涙が頬を伝い何度も落ち、それに加え開きっぱなしの口端から飲み切れ無い唾液が零れる。

涙と唾液でぐちゃぐちゃな表情を見て思わず息を飲んだ。

中の精器を膨張させてしまえば天十郎の腰が跳ね上がる。更に増えた質量に驚いてしまうも互いにもう限界で、何も言えない。


「はぁっ、あ…あァッ!っん、んむぅ…ッ」

「っは……ん、ん…う」


只荒く呼吸を繰り返して欲望のままに腰を打ち付け続ける。
中の締まりが一層強まった事により限界が近い事を悟る。その締め付けにより千聖自身も限界で。
身体を屈め、顔の距離を近付ければ唇を重ねた。

呼吸も全て奪ってしまう程深く、深く。

流石に苦しさに表情を歪めてしまうもその息苦しさすら心地好くて。
末期だ、そう頭の隅でぼんやりと考えた瞬間、グリッと一層強く前立腺をえぐられ、一瞬頭が真っ白になった。


「んぅ、ッ、ふぅっー…!!」

「…ッ!」


唇を塞がれたままだった為、くぐもった声を唇の隙間から漏らしながら身体を一層跳ねさせ、張り詰めていた精器を震わせ着たままだった袴へ向けて白濁を吐き出した。それと同時に絶頂を迎えた千聖も天十郎の内部へ白濁を全て吐き出す。
内部に吐き出された熱の熱さに小さく身震いさせながら射精後特有の気怠さに襲われ、身体をソファに沈めた。


「っは、ぁ…」


重ねていた唇を漸く離せば不足していた酸素を吸い込み、力が全く入らない身体をダラリとさせながら虚ろな瞳で千聖を見上げた。
ゆっくりと内部から精器を抜き取り、乱れた呼吸を整えていると天十郎の視線に気付き、視線を合わせる。


「…おい、大丈夫か?」

「あー……ん…大、丈夫…」


一応返事は返って来たが余り大丈夫には見えない。


(無理をさせてしまったか)


流石に申し訳なくなり内心で謝りながら天十郎の頭をそっと撫でた。その感覚が心地好かったのか自然と天十郎の瞼が降りた。
静かな空間に耳を澄ませればホールに流れる音楽が微かに聞こえる。
聖帝祭の途中だという事をすっかり忘れていた。


(此処で高校生活最後の思い出を作るのも悪くない、か)


この部屋まで微かに届く音楽を聞きながらそう考えれば天十郎の顔を覗き込み、その考えを口にした。


「なぁ、天」

「………んぁ?」

「まだ聖帝祭の途中だ。動けるようになったら…一曲踊らないか」


千聖がそう告げれば意外そうに瞳を丸くさせる。そんな天十郎に笑いながら手を取って手の甲に軽く口付けを落とした。
そして一旦手を離し、ソファから降りてスッと手を差し出す。


「俺のエスコートでは不満か?」
「………不満なんかあるかってーの」


少しずつ体力が戻り、身体が動かせるようになった為ゆっくりと身体を起こし、差し出された手を取ればお互い視線を合わせて笑みを交わした。


聖帝祭が終わるまで、後少し。





―――――
7500を踏んで下さったあいり様からのリク『千天で聖帝祭ネタの裏』でした。こんな感じでよかったでしょうか?色々無理矢理詰め込んだ感はありますが…(汗)
リクエストありがとうございました!


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