[通常モード] [URL送信]
Notice the real intention





「おーい。成っちょー?」

「……………」

「成宮、成ちゃん、成っちょってばー?」

「……………」


授業も終えた放課後、生徒会の見回りも兼ねて学園内を歩いていると天十郎の姿を見つけ、声を掛けるも全くの無反応

おかしい、何時もなら何かしら反応が来る筈なのに。今日は全く反応が無い


(…なんか拗ねてる?)


しかし拗ねさせてしまう様な行動を取ったつもりは無い。心辺りが全く無い
何度呼び掛けてもやはり返事は返って来る事は無く、流石に苛立って舌打ちを一つしてから天十郎の腕を掴み、制止の声も聞かず引っ張りながら学園を早々に後にした





―――――





学園内で天十郎が騒ぎ、千聖や慧が干渉しようとしてきたのを何とかすり抜けて那智の部屋へと連れてきた


「……で、なんでさっき無視したんだよ?」

「……………」


那智の部屋のベッドに座らせたのはいいものの、やはり口を開こうとはしない。そして那智の方も見ようともしない
頑なな天十郎の態度に意味が分からず、苛々が募って舌打ちを一つ洩らした


「チッ、何なんだよ…慧の頼みも全部抜けて連れて来たってのに」


途端、天十郎の肩がピクリと跳ねた。が、那智はそんな天十郎の様子には全く気付く事無く苛立ちを見せながら低い声色で一人言葉を吐き出していた


「慧の頼み断って…後で怒鳴られんのおれなんだぞ?なのに…」

「………るせぇ…」


何処か怒りを含んだ天十郎の声に那智はやはり気付く気配はない。それどころか先程から募るばかりの苛立ちを吐き出すかの様に独り言を続ける


「慧よりも成宮優先してさ、後でどう言い訳――…」

「……るせぇんだよ、このブラコン野郎がぁ!」

「…………なに?」


独り言を続ける那智に天十郎もまた怒りを覚え、拳でベッドを殴ればその鈍い音と天十郎の声に独り言を止めた
漸く天十郎の声を聞いたと思えばブラコン呼ばわり。そして向こうも何故か怒っている
訳が分からずに苛々は消える事無く募り、天十郎の傍へ寄り肩を掴みながらその勢いでベッドへと押し倒した


「っ、離せ!このブラコンアホがぁっ!」

「……うるさい」


ジタバタと暴れる様子にこのままでは話す事も出来ないと瞬時に判断すれば両腕をベッドに抑え付けて煩い口を唇で塞ぐ


「っん、んー…ッ!」


唇を塞がれ、抵抗もろくに出来なくなったがそう簡単に大人しくなる筈はなく、両足をバタつかせ暴れ続ける様子に那智は眉を寄せながらも深く唇を重ねた
そして唇を無理矢理割って舌を捩込んで天十郎の舌を絡め取れば擦り合わせたり舌を根元から吸い上げたりし、身体から力が抜ける様にと誘導した。時折わざと濡れた音を響かせて咥内を犯していけば漸く抵抗を止め、大人しくなったところでゆっくりと唇を離す


「は…、で?なに怒ってんの?」

「っは…ッ…、……が、………から…」

「え、なに?聞こえない」


呼吸を弾ませながら言いづらそうに口を動かしている為、天十郎の言葉が聞き取れない。聞き取れなかった言葉を拾おうと口元に耳を近付ければ顔を赤くさせながら先程とは逆の大声で同じ言葉を口にした


「……だからっ!おめぇが慧、慧って方丈兄のことばっか言ってっから気にいらねぇんだよっ!」


耳元で大声で叫ばれれば流石に煩く、咄嗟に耳を抑えて表情を歪めるも叫ばれた言葉を思い出せば余りにも意外過ぎる内容に目を見開いて数回瞬きをした


(ってことは、つまり…嫉妬?)


慧ばかりを気にする事が気に入らなくて無視していたという事か

天十郎の不機嫌の理由を理解し、意外だったが嫉妬してくれていたという事実に募っていた苛立ちが一気に消え失せて気付いたら強く天十郎を抱き締めていた


「かっわいー、慧に嫉妬してたんだ?」

「う、うるせぇ!誰が嫉妬なんか…」

「はいはい、仕方ないなぁ…成っちょは」


嫉妬していた事実を認めたくないのか勢い良く首を振って否定する姿が可愛くて仕方なく、抱き締めていた手を動かしてゆっくりと衣服を脱がし始める


「ちょっ、な…なにしやがんで…っん、む…」


脱がせ始めれば予想通り騒ぎ始める天十郎の口を素早く唇で塞ぎながら手際良く衣服を脱がせていく。暑がりなせいで余り着込んでいない為、脱がせるのはたやすい
簡単に衣服を全て剥ぎ取ってしまえば直ぐに拾われてしまわない様にベッドから部屋の隅の方へと投げ捨てた


「…安心しろって。慧は大事な大事な兄さんだけどさ、好きなのはお前だけ…わかる?」


宥めるような優しい口調で告げながら胸元に手を這わせ、胸元の突起を指先で弄っていけば小さく天十郎の身体が跳ねた


「…ッ、あ…!っ、くそ…やめろ、って…!」

「やーだね。おれがお前の事好きって理解するまで止めてやんない」


気乗りせず暴れようとする天十郎の身体をしっかりと抑えつけ、舌先で突起を舐め上げながらまだ萎えている精器に手を伸ばせばきゅ、と軽く握り、そのまま手を上下にスライドさせていく
性感帯である精器に刺激を与えられてしまえば否応なしに身体は反応してしまう


「んぁっ、や…っ、ふ」


恥ずかしさに頬を紅潮させていきながらも襲って来る快楽に逆らえず吐息を洩らし、扱かれる精器は硬度が徐々に上がっていく。それに加えて突起を転がすように舐められたり吸い付かれてしまえば自然と甘さの含んだ声が上がる


「あ、っあ…ぁっ!」

「成宮、好きだって…な?お前だけ」


天十郎から上がる甘い嬌声を聞きながら顔を上げ、耳元で囁きながら唾液を乗せた舌で耳を舐め上げる
ゾクリとした感覚が背筋に走り、小さく身体を震わせながらもまだ嫉妬心が拭い切れずに顔を背けた


「…ホラ、お前相手だから…おれもこうなるんだって」


顔を背けてしまった様子に肩を竦めるもそれくらいでめげる事など無く、天十郎の嬌声を聞き既に勃ち上がってしまっている精器をズボン越しに天十郎の精器に押し当てた
先端から先走りが流れ、その先走りがズボンに付着してしまうがそんな事は気にせずに精器を押し当てたまま腰を揺らせば衣類に精器が擦られ、たまらず声が上がる


「んぁっ、あ…ァッ!」

「っ、だから…いい加減機嫌直せ、ッ…な?」


衣類越しとはいえ精器を擦り合わせれば自然と快楽が押し寄せ、横目で那智を見遣れば微かに呼吸を乱し、快楽で表情が歪み始めている姿が視界に入った

確かに、こんな姿を見れるのは自分だけ

そう思えば拗ねていた事が馬鹿らしくなり、顔を向けて両腕を首元に回せばそっと唇を重ねた






―――――





「っふ、あ…あぁアッ!」

「ン、く…ホラ、もっと動けって…」


漸く機嫌の直った天十郎を更に言いくるめて那智は自分の上に跨がらせれば俗に言う対面座位の体勢を取らせ、軽く腰を揺らしながら天十郎自らも動かさせた
結合部からぐちゅ、と濡れた卑猥な音が響き羞恥を煽られながらも腰の動きは止める事無く、那智にしがみつきながら快楽を追っていた


「ん、んぅっ…っは、あ…ァアッ」


ピッタリと身体を密着させている為に勃ち上がった精器は天十郎と那智の腹で擦り上げられ、動く度に強い快楽に襲われる
後ろは那智の精器で犯され、前は互いの腹で擦り上げられ、二点から襲ってくる快楽に天十郎は既に限界を覚えていた


「っあ、ほ…じょ、も…っあ、アッ!っく、イッ…!」

「ッ、なに…もう、イく…?」


途切れ途切れに告げられる言葉と一層締まる秘部に限界が近いと悟りながらも敢えて問い掛ければコクコクと何度も頷いて答えた
その様子が何だか可愛くて、中の精器を更に膨張させながら絶頂へ導く為、肌のぶつかる音を部屋中に響かせながら前立腺を何度も突き上げてやれば天十郎の足が一層震えてしがみつく腕にも力が込められる


「あっ、ひ、ア…っああぁあー…ッ!」

「っ、ん…!」


背をのけ反らせて高く声を上げると同時に精器を震わせ、互いの腹へと粘着質な白濁を吐き散らし、それと同時に低く唸りながら天十郎の中へ熱い白濁を注ぎ込んだ
全て吐き出し終えた後、身体の力が抜けぐったりとする天十郎の身体をしっかりと支えながら顔を覗き込む


「っは…、成っちょ…大丈夫?」

「ん、ぁ…」


声を掛けるも身体の力が抜け、余韻に浸っているせいか曖昧な返事しか返って来ない
無理をさせてしまったのか、と内心後悔しながらまだ繋がったままの状態でゆっくりとベッドに横になる


「……ッ!」


繋がったままの状態の為、少し動かれるだけで天十郎の身体が震えた。その様子を見逃さなかったが、もう一度やる気は無く、抱き締めたままの手でリズム良く背を叩き眠りを誘う


「ホラ、疲れたんだろ?寝ていいよ」

「……ん…」


襲って来る眠気に耐え切れないのか、小さく首を縦に振れば重い瞼を閉じて意識を飛ばした
直ぐに聞こえてきた寝息を聞きながらしっかりと身体を抱き締め、まだ汗の滲む額に口付けを落とす


「…可愛いなぁ、本当。アホだけど」


慧に嫉妬していたという事を思い出せば思わず笑みが洩れる

慧以外でこんなに興味がある人間はお前しか居ないのに
好きじゃなきゃ慧の手を煩わす存在を抱いたりしないのに


「わかってないなぁ」


こんなに好きなのに。それに気付いて居ないなんて
でもそれが、コイツらしい

肩を揺らし喉奥で笑いながら次は唇に口付けを落とす


(わかっていないなら理解するまで教えてやればいいか)


慧や千聖を振り切って家に連れて来てしまった言い訳を考えながら寝息を立て眠る天十郎の寝顔を飽きる事無く見つめていた





―――――





6666番を踏んで下さった郁様のリクエスト『那天で妬きもち妬いた天十郎を宥めつつの裏』でした。リクエストに添っているか不安ですが…こんな感じで大丈夫でしょうか?
那天初挑戦でした!好きなんだけど難しい…
良ければ受け取って下さい。リクエストありがとうございました!


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!