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An oath





継承の儀を壊した後、天十郎と千聖は暫く離れていた

互いに傷だらけになったが、何とか無事にそれぞれの家に戻る事が出来た
家に戻り空腹も満たせば天十郎は千聖の部屋へと駆け付け、ベッドに寝転ぶ千聖の傍で時間を過ごしていた


「千、怪我大丈夫かよ?」


継承の儀を壊した後、離れている間に何があったかは知らないが千聖は腕に怪我をしていた
ギブスで固定されている腕を見た瞬間、血の気が引いたのを覚えている

こんなに迷惑を掛けてしまうなんて、思っても居なかった

罪悪感からか天十郎には何時もの元気は無く、眉を下げながら痛みを与え無い様にギブスをそっと撫でる。そんな天十郎を見て千聖は小さく笑ってくしゃりと頭を撫でた


「一応大丈夫だ。暫くお前の飯は作ってやれそうにないがな…ま、面倒事が減って俺としてはありがたい」


気落ちしている天十郎を宥めるかの様に冗談を交えながら言葉を掛ける。そんな千聖に気付いたのかそれに合わせる様に、何時もの様に声を張り上げた


「なっ、人が心配してやってんのになんでぇその態度!この、アホ千がっ」


でもやはりそれ以上の調子は出ない。ベッドの端に腰掛けながら腕に負担を掛けない様にギュッと千聖の身体を抱き締めた。胸に顔を埋めれば千聖の匂いが鼻を掠め、久々の匂いに安心して身体から力が抜ける


「……アホ千…ごめん、な…」

「…天?」

「ごめん…」


考え無しに行動してしまった事が全て裏目に出てしまい、結果、一時的ではあったが離れてしまった。傍に居る事が当たり前だったのに、離れてしまっていた為どうしようも無い不安に襲われた


「おめぇと会えなくなんのかと、思った…」


この温もりが消えてしまったら、二度と会えなくなってしまったら…そんな事ばかり考えていた
本当に、怖くて怖くて仕方なかった

千聖を抱き締めてくる腕が微かに震えている事に気付く。こんなに弱った天十郎を見るのは初めてに近く、千聖は動揺したがそれを表に出す事は無く、片腕でしっかりと天十郎を抱き締めて額に優しく口付けを落とした


「安心しろ、お前から離れるつもりはない。不破を名乗れなくなったとしても、そんなものは関係なくお前の傍に居て守る、そう考えていたからな」


そう、不破とか成宮とか関係が無い。大切なものを守っていきたい

千聖の思いは只それだけだった


「だから、俺は今も…これからも、離れたりはせん」


離れている間、どれだけ大切か改めて思い知らされた
二度と離しはしない、そう言わんばかりに強く強く天十郎の身体を抱き締めた


「千…その、あんがとな…」


伝えられた言葉に込められた気持ちを汲み取り、微かに頬を紅潮させながらも嬉しそうに笑って千聖の身体を強く強く抱き締める。密着する身体の体温を感じ、もっと感じ取りたくて身体を擦り寄せていれば千聖から溜息が一つ洩れた

(どうしてこんなに無防備なのか)

今まで必死に抑えて来ていた欲望がどんどんと膨れ上がってきているのを感じる
大切にしたくて、今まで手を出してしまいそうになるのを抑え込んでいたのに

弱々しい姿や甘える姿

普段からは見られない姿を見て千聖の理性が限界まで達していた
腕の怪我を疎ましく思いながらも抱き締めてくる天十郎の身体をそっとベッドへと押し倒し、何かを言いかけるその唇を自分の唇で塞いだ


「せ、……っ、ん」

「…天、いや…天十郎……もう、限界だ」


お前が、欲しい





―――――





ベッドへ押し倒し、抵抗する事無く受け入れると言ってくれた天十郎の衣服を全て剥ぎ取り、褐色の肌に舌を這わせながら性感帯である精器を掌で包み込み、ゆっくりと手を上下させれば甘い声が上がる


「あ、あっ…や、ッ…!せ、ん…ッ」


掌の中で徐々に変化を遂げる精器の先端を指先で刺激を与えながら竿を掌全体で扱き上げる
同じ男同士。だからどうすれば天十郎が感じるか何となくだがわかる


「っあ、は…ア、ァッ」

「天…、ッ」


甘さを含んだ嬌声が上がる度に身体の熱が上昇するのを感じる。天十郎の声、表情、仕種…全てに興奮を煽られる
早急に繋がってしまいたい、そんな気持ちを何とか抑え込みながら身体を屈め、閉ざされている秘部へと舌を伸ばし、唾液で濡らし解す様に丹念に舐め始めた


「なっ、何し…ッン、や、汚ね…ッア、ぁ!」

「ふ…ッ、お前だからな…汚いとは思わん」


舌を這わせられる箇所から濡れた音が響き、羞恥に襲われながら弱々しく千聖の頭を押し返す。普段は排泄の役割を果たす場所。そんな場所に舌を這わされれば嫌がるのは当たり前。しかしそんな微々たる抵抗も何も気にもせずに唾液で濡らしていく
ある程度濡らしたところで舌をゆっくりと捩込み、中を解す様に舌を動かす


「っひ、や…ぁ!」


中で動く舌に何とも言えない感覚に襲われ、ブルリと背筋を震わせながら嫌がる様に首を左右に振る
そんな天十郎に気付きはするものの今更止める事は出来そうに無く、内心で謝罪をしながら舌を動かし、解れてきたところで一旦舌を引き抜き、ゆっくりと指を挿入させる


「い、っ…あぁ!いた、ぁ…っ!」

「…天、力を抜け…息を吐いて」

今まで何も受け入れた事の無い箇所に指を挿入され、威圧感と痛みに襲われて自然と涙が浮かぶ。目尻に軽く口付けながら力を抜く様に促し、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる内部が少し緩んだところを見計らって指を根元まで突き入れた


「あ、アァッ…!」


途端ビクリと腰が跳ね上がる。やはり痛みを感じるのか、千聖に必死にしがみついてくる天十郎の身体をギブスが嵌められたままの腕で優しく抱き締めた


「大丈夫だ、優しくするから…力を抜け、天…」


優しい口調で耳元で囁かれ、安堵したのか強張っていた身体から力が抜けた。天十郎に不安を与えぬ様に額、目元、頬等に口付けを降らせながら中に埋めた指を動かしていく
慣れて来たところで二本、三本と指を増やし十分に解れたと判断すれば指を引き抜いた

もう、限界だ


「っあ、はァ…千…?」

「…痛かったら、爪を立てろ。噛み付いても構わん」


もう、入れたい


一言耳元で囁くと同時に丹念に解した秘部へ熱を持った精器をあてる。そしてそのままグッと腰を進めて秘部に精器を挿入させていく


「っひ、ア、あぁあー…ッ!」

「……ッ、ク」


指とは全く違う質量に快楽よりも痛みを覚え、喉元を反らせ声を上げる。余りの痛みに涙を浮かべながら背に回したままの腕に力が篭ってギリリ、と爪を立てる
背に走る痛みと狭い内部にぎゅうぎゅうと精器を締め付けられ、千聖も表情を歪めた。しかし、自分よりも辛いのは受け入れる側だという事を理解していた為にそれは表には出さず、しっかりと天十郎の身体を抱いたまま額に口付けを落としてゆっくりと律動を開始する


「いっ、は…ぁ、あぁっ、アッ!」


千聖が動く度に痛みに襲われる。しかしその中に快楽も覚え、今まで感じた事の無い感覚に襲われどうしようも無く不安に襲わてしまい、千聖の名前を呼びながら必死にしがみついた


「千、せん…っあ、や…千っ…!」

「ッ、天…大丈夫だ」

「せっ…っあ、ア…っあぁ、ンッ」

大丈夫、と優しい声色で囁かれれば自然と不安が消えていき、律動と共に襲って来る快楽に素直に身を委ね始める事が出来た

名前を呼ばれ、『大丈夫』と告げられただけで安心する
自分がどれだけ千聖の事が好きか改めて思い知らされた気がする

萎えかけていた天十郎の精器はまた熱を持ち、先走りを滲ませながら千聖が腰を打ち付ける度に嬌声を上げた


「あっ、ぁ…っん、は…ッ、あぁッ!?」

「…ッ、は…天…?」

「や、やめ…っ、そこ…ッあぁあっ!」


ある一点を突き上げると同時に先程よりも高い声が上がる。不思議に思い、再度突き上げたしこりをグッと押し上げれば強い快楽が押し寄せ、腰を浮かせながら一層嬌声を上げた
そんな天十郎を見て、此処が性感帯である前立腺である事を理解した千聖は前立腺ばかりを執着に突き上げる


「っあぁ、ア…ひ、あぁアッ!」


襲って来る強過ぎる快楽に絶頂の波が押し寄せ、ガクガクと身体を小刻みに震わせ千聖の背を引っ掻きながらきゅっと中を締め付ける


「っ、く…イきそう、か…?」

「はぁっ、あ、ぁっ…、ッ!」


中が締まり千聖も表情を歪め、余裕の無い表情で問い掛ければ答える事が出来ないのか、天十郎はただ喘ぎを上げながら口では答えずに何度も頷いてみせる
それを合図にするように一層強く腰を打ち付け、互いを絶頂へ導くように欲望のまま、ただただ快楽を貪った


「ひぁっ、あ…や、あ、あぁああァー…ッ!」

「ッァ、く…ッ!」


与えられ、襲ってくる快楽に限界を迎えた身体は堪える事も無く、千聖の背に爪を食い込ませたまま身体を大きく跳ねさせて張り詰めていた精器から白濁を吐き出した
それと同時に千聖も中から引き抜く事もせず、最奥に熱い白濁を注ぎ込む。その熱さに小さく身体を震わせたと思えば天十郎はそのまま意識を手放した


「…は、っ……天?…おい、天十郎?」


腕の中でぐったりとしてしまった天十郎に気付き、声を掛けるも意識を手放してしまっている為に返事は無い
無理をさせてしまったか、と申し訳無くなるも、それ以上に身体を繋げる事が出来た事の喜びが上回って柔らかな表情で眠る天十郎の顔を見つめた


「……愛している」


唯一無二の大切な存在。もう二度と離れたりはしない
今日の様な顔はもう、させない


「もう、二度と離れたりするものか…傍に居る」


だから、どうかずっと隣で笑っていてくれ

そう願いながら片腕で天十郎の身体を抱き締め、体温を感じながらゆっくりと目を閉じた





―――――





5/27〜6/7の間に行ったアンケート一位の千天でした。継承の儀の後の話…だったんですが、ぐだぐだですみません
アンケートのコメントを元に書いたのですが、どうでしょうか?他のアンケート小説もコメントを元に書いてあります、一応…。下さったコメントを組み合わせて書いてるつもりなんですが…中々上手く書けなくてすみません(汗)でも、楽しかったです
アンケートに投票して頂き本当にありがとうございました!


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