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可愛いキミ、敵わないキミ






何時も何時も振り回されてばかり
だから、今日は少し仕返ししてやろうって…そう思った


「…………悟郎。ちょっと…いい?」

「え、なに?ミズキ」

「………ん、あのね……」


一日の職務を終え、帰宅準備をしている悟郎の姿を見つけて呼び止めれば傍へ寄り、耳元へ顔を近付けて普段から小さい声を更に小さくさせながら用件を伝える


「え、えぇっ!?ちょっ、ミズキ本気?」

「………ん、本気」


その用件を聞けば余りにも意外過ぎる内容で、思わず声を上げ問い返すも冗談では無いということを理解すれば小さく溜息をつきつつも用件を手伝う事にした

(ミズキって突然ポペラ変なこと言い出すんだよね…ま、面白そうだからいいけど)

内心そう思いながらも瑞希の手を引き、協力の為早々に職員室を後にした





―――――





「…なんの用だろ?」


生徒会職務を終えて帰宅しようとした時に送られてきた一つのメール

『20時にマンションに来て』

その一言だけが綴られたメールだった。それ以外は何も書かれておらず、不思議に思ったが他ならぬ瑞希からの誘いの為時間通りにマンションへとやって来た。瑞希の部屋の前で足を止め、インターホンを鳴らす


「せんせい?」

「………鍵開いてる…入って」

「じゃあお邪魔するね」


扉の向こうから瑞希の声が聞こえれば遠慮する事無く扉を開き、玄関で靴を脱いでリビングへと真っ直ぐに向かい瑞希の姿を探す


「あ、せん―……な、何してんの?」


瑞希の姿を見付け、傍へ寄ろうとしたが余りにも意外過ぎる格好をしている瑞希に一瞬言葉を失った
驚きの余り固まってしまっている那智を気にせずに座っていたソファから立ち上がり、傍へ寄れば身体を寄せて驚く那智の姿を見て満足そうに笑った


「………似合う?」

「いや、似合うって……可愛いし似合ってるけど、でもなんでそんな格好してるの?」

「……秘密」


瑞希の格好を再度見遣り、素直に感想を口にするも何故そんな格好をしているのか理解出来なかった

今の瑞希の姿は俗に言うメイド

メイド服を身に纏い長い髪をツインテールにし、誰がしたかは分からないがメイクも施されていた

はっきり言ってその辺の女よりも可愛い

そう思って瑞希の頬に手を伸ばし、触れようとするもその前に腕を掴まれ制された


「……ダメ。とりあえずこっち」

「え、ちょっ…せんせい?」


腕を掴んだまま那智の腕を引いて寝室へと向かう
瑞希の行動の意図が全く掴めずに困惑していた為、簡単にベッドへと押し倒されて那智の上に瑞希が跨がった。その状況に驚きながらも愛しい相手が上に跨がっているという、悪く無いこの状態に抵抗する事無くただ瑞希を見上げた


「…あのさ、せんせい?」

「……何、那智…様?」

「……ッ!?」


瑞希に自分の名を呼ばれ思わず心臓が高鳴る。敬称付きなのは少々気になったが、今まで名前で呼ばれた事が無かった為不覚にも微かに頬が紅潮した
そんな那智の姿を目を細めて見遣りながら片手を那智の下半身へと伸ばし、衣類腰に緩く撫で上げればビクリと身体が跳ねる


「ッァ…、せん…っ」

「……違う、瑞希…ね、那智様…?」


そっと唇に口付けながら呼び方の訂正を促す。普段全く呼ぶ事の無い呼び方に戸惑いを隠せない
戸惑っていると瑞希の手が動き、気付けば下着とズボンを脱がされて下半身を曝される。曝された下半身を見遣りながら瑞希は身体をずらし、戸惑う事無く口を開いてゆっくりと那智の精器を口に含んだ


「なっ、何して…っあ、ァ…ッ」

「ん、ンッ…ふ…」


反射的に瑞希の髪を掴み離させようとするもその前に精器に舌を這わせられ、弱い先端部分を執着に攻め立てられ抵抗の意が弱まる

何故今日に限ってこんな事をしてくるのか

先程からそう考えるも答えは見出だせない。考えても分からないのならば、今のこの状況を楽しもう、そう思い直して髪を掴んでいた手を離し、緩く瑞希の髪を撫でた
優しい手つきで髪を撫でられ瑞希の気分が良くなったところで弱い裏筋や先端を執着に舐め上げ、根元まで深く咥え込みながら先端から溢れる先走りを啜り、濡れた音を響かせながら頭を上下させ快楽を与える


「っあ、く…せん、ッ…」

「んンッ…ちが……瑞希、っ…」


巧みな愛撫に不覚にも既に絶頂が近くなり、ブルリと腰を震わせ小さく名を呼ぶも何時もの癖が抜けずにそう呼べば不機嫌そうな表情で瑞希が訂正する様に自分の名を呟く
咥え込まれたまま喋られ、その微かな振動も快楽に変わり更に先走りを溢れさせると見計らったように睾丸を手で揉みしだきながらジュル、と音を立てて強く吸い上げた


「ッァ…瑞、希――…ック!」

「っん、ン…く、ッ」


一層ブルリと那智の身体が震えれば低く抑えられ、しかし何処か甘さの含んだ那智が声を上げると同時に精器を瑞希の咥内で震わせ、粘着質な白濁を吐き出した。瑞希はそれを吐き出す事無く、一滴も零してしまわない様にと精器に吸い付き、数回に分けてゆっくりと喉へと通した
全て飲み干し終えれば口を離し、もう一度那智の上へと跨がれば顔を覗き込む


「っ、は…良かった…?」

「…ッ、良くないわけ…ないでしょ…?せん…瑞希がしてくれたんだから…」


普段は余りしてくれる事の無い愛撫に翻弄され、何時もよりも早い絶頂を迎えてしまい気恥ずかしさを感じ、呼吸を微かに乱したまま答えれば瑞希は満足そうに笑って軽く唇に口付けた。そして、射精後で萎えてしまっている那智の精器に手で再度刺激を与え始める


「っ…、ン…!」

「……もっと、那智様のこと…良くしてあげるから…ね」


一度絶頂を迎えている為、瑞希の手により直ぐに那智の精器は硬度を取り戻し、それを確認すれば瑞希はメイド服のスカートを持ち上げて淫口をしている際に感じ勃ち上がって先走りを流す精器を曝す


「…ッ、エロ…何も履いてないなんてさ…」


スカートの下に何も履かれていなかった事に驚くがそれ以上に勃ち上がっている瑞希の精器を見て思わず息を飲んだ。指先で先端部分を軽く撫でれば瑞希の口から甘い声が洩れる


「あっ、ン……那智様が、来る前に…準備、しておいたから…慣らさなくても入る……」


微かに頬を紅潮させながら小さく告げられた言葉に驚くも驚いている間も無く瑞希は秘部を那智の精器の先端にあて、そのままゆっくりと腰を下ろして精器を飲み込んでいく


「っあ、ア…ァッン!入る、ッ…」

「く、っ…キツ…」


自分で慣らしたとは聞いたがやはりまだ狭い。締め付けてくる内部の狭さに那智は表情を歪めるも腰を下ろし飲み込んでいく瑞希の姿を見ればその辛さも何処かへ消えた


「んっ、は…はぁっ……入っ、た…」


漸く腰を下ろし全てを飲み込み終えたところで瑞希の呼吸は随分と乱れていたが休む事無く腰を上下し始める
瑞希が動く度にベッドのスプリングがギシギシと鳴り、それに重なって瑞希の嬌声が上がり室内に響き渡る


「あぁっ、は…ァ、あっ、ン」

「瑞希…ッ、は…」


スカートを持ち上げたまま腰を振り続ける様はどうしようも無く淫らだった
腹まで付きそうなくらい勃ち上がった精器の先端はスカートに擦れる為先走りで汚され、瑞希が腰を上下させる度に結合部が那智からは丸見えだ。そして前立腺に当たる様に腰を振り続け、その部分に当たったのか嬌声は更に上がって腰を上下させる速度が早まり夢中になって快楽を貪る


「ひぁ、あぁアッ!っは…あ、ぁん、ッ」


そんな姿を見て欲を煽られない方がおかしい

瑞希の中で更に精器を膨張させ、程よく締め付ける具合の良い内部に耐え切れず那智も瑞希の腰に手を添えてグッと下から前立腺を目掛けて突き上げた


「あ、アァッ!だめ、や…あっ、ァ…イッ、イく…っ!」

「っァ…、イイ、よ…おれも、限界だし…ッ」


グッグッと何度も執着に前立腺を突き上げれば快楽により目に涙を浮かべながら限界が近いと訴える瑞希。那智の動きに合わせて腰を振りながら内部を締め付ける事も忘れず快楽を与えるその締め付けにより耐え切れ無くなり最奥を一層強く突き上げて互いを絶頂へと導く


「っく、ァ――…ッ!」

「やっ、あ…イッ、あ…っあァァッ―…っ!」


二人同時に絶頂を迎え、那智は瑞希の中へ、瑞希は那智の腹やメイド服のスカートへと白濁を吐き出す。一気に身体から力が抜けた瑞希はそのまま那智の上へ倒れ込んだ





―――――





「…ねぇ、何で今日こんなことしたの?」


余韻に浸り終え、お互い着ていた衣類を全て脱ぎ捨てベッドの中で抱き合いながら先程は答えて貰え無かった事を那智は再度口にして問い掛ける


「……いつも、振り回されてばっかりだったから…驚かせたかった」

先程は答え無かった瑞希も行為が終われば伏せておく理由も無くなり素直に理由を答え、口元に笑みを浮かべながら頬に口付けた


「だから、あの格好で『那智様』って呼んだわけ?」

「………ん。悟郎に手伝ってもらった…それに、女装するなら……男はメイドが好き、って…聞いたから」


口元に笑みを浮かべながら答える瑞希に思わず溜息が洩れた。確かにメイドは嫌いでは無いし、何より瑞希は似合っていたし可愛かった…が、余りにも意外過ぎる行動に最初は翻弄されっぱなしで少し悔しかった
だが、普段の仕返しとしてしたのならばそれも可愛いと思えたし、何よりあんな大胆な瑞希も悪く無いと思えば小さく笑って瑞希の頬に軽く口付けを返す


「おれはせんせいだったら何でも好きだけどなぁ?…あ、そうだ」

「…?」


まだ結ばれている髪を解き、長い髪を下ろさせれば一房摘んで髪にそっと口付ける


「二人の時だけでいいから、那智って呼んでよ。名前で呼ばれるの凄い嬉しいからさ」


名前で、と言われ暫し戸惑った。名前で呼んだのは驚かせる事を目的として呼んでいた為に簡単に呼べない
行為中に名前を呼んでいたのも本当は慣れなくて恥ずかしかったのだ


「………考えておく」

「えー、何で?いいじゃん、那智でさー」


不満そうに唇を尖らせながら文句を言う那智に思わず笑ってしまいそうになるも、不意に耳元に顔を寄せられれば不思議に思い、視線を那智に向ける


「…いいでしょ、瑞希?」

「……っ!?」

「あれ、真っ赤…可愛いなぁ、あははっ」


不意打ちで名を呼ばれ思わず赤くなる瑞希。赤くなったまま悔しげな表情を浮かべながらも強く那智に抱き付く

やはり、そう簡単に那智には敵いそうに無い


「………バカ、那智…」


今だ赤くなったまま小さな声で名を呼ばれ、那智は満足げに笑いながら前髪を避けて額に柔らかな口付けを送る


本当にキミは可愛い

本当にキミには敵わない


互いにそう思いながら触れ合う温もりの心地良さに身を委ねた





―――――





5/27〜6/7に行ったアンケート二位の那智×瑞希でした
ただのメイドじゃつまらない、と思って瑞希に翻弄される那智を書いてみようと思ったんですが…何か色々すみません…
那智と瑞希にお互いの名前を呼ばせてみたかった、ってのもあるんですけどね←
アンケートに投票して下さりありがとうございました!


あきゅろす。
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