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Kiss×Kiss







「…くー……」

「すー…っ……」

「「………………」」


学園のとある一室。静かな室内に響く二つの寝息とそれを無言で見つめる二つの影


「…中々戻って来ないと思ったら、寝ているとはな」

「………疲れてるのかな?」


室内で眠りこけている那智と清春の姿を見遣りながら瑞希と瞬は各々にそう呟いた

話は一時間程前の事。毎月行われている月末試験も終えた後、特別講師である瑞希達が職員室へ戻り、他のB6メンバーも次々と集まり帰宅の準備をしていたが只一人、清春だけが幾ら待っても戻って来なかった
清春を待つ事に痺れを切らしていた時、生徒会長であり那智の兄である慧が「まだ那智が戻らない」と苦情を出しに来た。つまり二人揃って戻って来ていないという事になる。それを聞いた翼が二人の捜索を瑞希と瞬に任せて翼達は帰宅し、慧も生徒会の仕事が残っていた為その場を後にした
捜索を強制させられた瑞希と瞬はお互い溜息を洩らしながらも二人の姿を探しに向かった

そして、今に至る

眠りこけている那智の傍まで足音を立てずに歩み寄り、間近でその寝顔を見つめれば柔らかな笑みを浮かべながらそっと髪を撫でた


「………寝顔、可愛い…珍しい…」


普段余り見る事のない那智の寝顔を見て満足げな表情を浮かべながら寝顔を飽きる事なく見つめる。そんな瑞希を見て、瞬は少し驚いた
昔よりは笑うようになったが、あんな風に柔らかく笑うとは思わなかった。人は変わるのか…そう考えながら瑞希の様子を眺めていたが、次に取った瑞希の行動に驚き、思わず声を上げてしまう


「………んー…」

「なっ、何をしている!?」

「…………キス…?寝顔、可愛いから……ん」


ちゅっ、と小さなリップ音を立て、那智の唇に口付けながら恥ずかしげもなく答える。簡潔に理由を述べた後、何度も唇を重ねながら満足そうに寝顔を見つめる瑞希を見ていると何だか自分の方が恥ずかしくなり、その光景から視線を逸らした


「……瞬は、しないの?清春に…」

「なっ、ば…馬鹿を言うな!誰がそんな事をっ…」


口付けを繰り返していると思っていた瑞希から突然言われた言葉に思わず赤くなりながらも否定した。自分からするなんて性格上無理だ。ましてや瑞希の前で


「なぁンだよ、つまんねーナァ。オイ、ナァナ…?」

「なっ…!?……仙道?」


そんな事を頭の中でグルグルと考えていると眠っていた筈の清春から声が聞こえると同時に腕が伸び、瞬が何か行動を取る前に素早く机に背を押し付けられ、驚きの余り瞬きを何度も繰り返した
驚く瞬を気にせず背を机に押し付けたまま顔を近付け、そのまま唇を押し付ける


「……ッ!?」

「……………あ…」


突然目を覚ました清春の姿に驚き、那智に口付けを送り続けていた瑞希の動きが止まる。そんな瑞希に目もくれずに清春は瞬の呼吸を奪う程深く唇を重ねる


「…せーんせい?」


そんな二人の様子をぼんやりと眺めていると傍で寝ていた那智も目を覚まし、身体を起こせば自分の膝の上に瑞希を座らせた
突然の事に余り動揺しない瑞希も流石に驚く


「………いつ、起きたの…?」

「ん?先生がおれにちゅーってしてた時から」

「……たぬき寝入り…」

「あははっ、ごめんね?先生が可愛いからつい」


軽く拳を握り余り力を込めず、咎めるように那智の肩を軽く叩くもさほど気にはしていないのか、視線を合わせて笑みを浮かべる。そしてどちらとも無く唇を重ねた


「ん…、先生?隣の二人に負けないようにもっとキス、しよっか?」


那智の言葉に軽く頷きつつちらりと視線を隣へと向ければ、貪る様な清春の口付けに瞬の身体から力が抜け、弱々しく清春の服を掴みながらも拒否する事は無く舌を絡める姿が視界に入った


「んっ、ふ…ァ…、せん、ど…ッ」

「…ッ、は…まだまだ足ンねー…、ダロ…?」


微かに呼吸が乱れ、弾む息遣いと小さく聞こえる甘い瞬の声に触発された瑞希は両腕を那智の首元へと回し、ゆっくりと顔を近付けた


「…ん、いっぱい…する……」

「じゃあ…」


唇が触れ合う寸前まで顔を近付け、互いに目を閉じ唇を重ね様とした瞬間、突然教室の扉が開いた


「那智、何処にいる!いい加減に……、っ!?」

「「……あ」」


扉を開けたのは方丈慧、彼だった
那智を探しに出た瑞希達が中々戻って来ない事に痺れを切らし、慧自ら探しに出ていた。漸く探していた那智の姿を見つけたのはいいものの、室内の光景を見て思わず固まってしまう


「ん、ん…っふ…」

「……ッ、ン…」


静かな室内に響くのは慧の存在に気付いて居ない瞬と清春、二人の息遣いだけ。そんな淫らな息遣いに固まっていた慧の顔が一気に赤くなる


「こ、ここをどこだと思ってるんだ!仙道先生に七瀬先生っ!」


慧が声を荒げ二人に叱咤の言葉を掛けるもその言葉は耳に届いておらず、離れる様子は見られない


「はァ…ッ…、せん、ど…」

「ナナ…」


そんな二人に更に顔を赤くさせながら次は那智と瑞希の方へと向き合い、バン、と大きな音を立てて机を叩く


「那智、お前もだ!斑目先生と何をしている!」

「………キス、寸前」


那智が答えるより先に瑞希が口を開く。那智との時間を邪魔され、表情からは伺う事は出来ないが内心怒りを抱えていた


「なっ、な…!?」

「先生、素直に言っちゃダメだって…慧怒ってるんだから。慧、ごめんごめん。先生が可愛いから場所のこと忘れてた〜、許して?」


瑞希と慧をとりあえず宥めようと瑞希の背を緩く撫でながら慧に向け謝罪の言葉を口にする。が、自分の傍に居るのに慧の事を気にする那智が気に入らない瑞希は微かに眉間に皺を寄せながら自分の方に向かせ、顔を引き寄せれば唇を重ねた


「…っ?」

「な、なっ…!ま、斑目先生!いい加減に…」

「………うるさい、邪魔。…あっち行って」


ギュッと那智に抱き付き、唇を軽く触れ合わせたまま吐き出し、それ以上は何も言わず再度那智の唇に自分の唇を重ねた
瑞希から微かながらも嫉妬心を汲み取った那智は思わず表情を緩め、後で慧からの怒りを聞く覚悟を胸に持ちながら瑞希の後頭部へ腕を伸ばし、顔を引き寄せながら深く深く唇を重ね、その柔らかな唇を味わう


「い…いい加減にしろーっ!これ以上学園の風紀を乱すなっ!!」


慧の怒声が教室内だけでなく、学園にも響き渡ったが四人は互いの愛しい相手から離れる事はせず、飽きる事無く甘いキスを味わい続けた





―――――





キリ番2500、青海様のリクエストで「清瞬&那瑞」でした。特に指定がなかったのでこんな感じにしてみたのですが…ど、どうでしょうか?
二つのCPを書くのって中々難しいです…色々すみませんでした;;
そして、キリリクありがとうございました!


あきゅろす。
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